〇大西委員 契約案件の入札経過について伺っていきたいと思うんですけれども、第二回定例会のときにも、やはり付議案件で低入札があって、私も質問をさせていただいたわけで、ちょうどあたかもシンドラーのエレベーター問題とか耐震偽装事件等があって、こういった激烈な競争によって品質管理が十分なされていないのではないか、そういう指摘をさせていただいたわけですけれども、今回もこういう低入札が行われているわけでして、品質確保の観点から伺っていきたいと思うんですけれども、まず、過去三年間の低入札の実態についてお聞きをしたいと思うんです。

〇竹本参事 ただいま過去三年間の状況のお尋ねがございました。
 平成十五年度は二十九件、低入札が発生しております。十六年度におきましては二十八件、十七年度は三十五件となっております。このうち議会付議案件につきましては、十五年度は一件、十六年度は一件、十七年度におきましても一件という状況でございました。
 低入札は、鋼けたですとか電気ですとか河川工事の業種において多く発生しておりまして、これらの業界として非常に厳しい競争の結果と受けとめております。

〇大西委員 このような入札に対しては、低入札価格調査制度によって、積算の根拠、資材の購入先あるいは労働者の供給見通しなどを調査して、問題がないと判断して契約を結んだと聞いていますね。だけれども、四〇%を切っているとか五〇%を切っているような入札金額で落札をしているわけですね。そしたら、ある意味では、きょうはこれには触れないけれども、財務当局の積算というのは一体どうなっているんだという疑問も感じざるを得ませんね。そして、調査の結果、工事に支障がない、しっかりとした品質が確保されるというふうに判断したからこそ契約を履行しているんだと思うんですね。そうしたら、何だ、今までの、四〇%も五〇%も業者たちは利益を上げていたということを素人目には考えちゃうよね。
 そういった意味では、この問題についてはまた触れていかなければいけないと思うんですけれども、常識的にいけば、企業の利益なんかはもちろんだけれども、人件費の、技術者の確保だって、危ういと私たちは思うんですよ。
 こういった低入案件の落札率や工事成績も後でチェックしていると思うんですね。それらの平均はどうなっているのか、聞かせてほしいと思います。

〇竹本参事 先生、四〇%を切っているものはございません。五〇%を切っているものは過去に一、二件あったかと承知しておりますが……

〇大西委員 ああ、そうかそうか。三〇%……。

〇竹本参事 いえいえ、四〇%を切るようなものは発生してございませんので、どうぞご理解ください。

〇大西委員 ああ、そうかそうか、はい。

〇竹本参事 ただいまのご質問は、落札率の平均についてということでございました。十五年度には落札率の平均が六八・八%、十六年度には六九・五%、また十七年度、昨年度におきましては六六・七%という状況でございます。
 さらに、工事成績の平均についてのお尋ねでございます。工事が完了して成績評定が終了したものの状況でございますけれども、それらの平均につきましては、十五年度におきましては七十一・八点、十六年度におきましては六十九・五点、十七年度におきましては七十・八点という結果が出ておりまして、工事全体の、一般の工事含めた全体の平均よりも高い、そういうような状況があらわれております。

〇大西委員 竹本参事がマリア様のように優しくいわれちゃうと、いいたいことも十分いえなくなっちゃうんですけれども、いずれにしても工事成績は、合格しているとはいっても七〇%だよね。以下ということでしょう。いかにも低い。落札率の平均が七〇%以下というのはいかにも低いわけですよね。
 ですから、現在の低入札価格制度の対象となる発注金額というのは、土木は四億円、建築は五億円以上、設備では一億二千万円以上、こうなっているんでしょう。これは後で申し上げますけれども、いずれにしても、これはいつから、どのようにして決められてきたのか、まずお伺いをしたいと思います。

〇竹本参事 低入札価格調査制度の対象の範囲でございますが、平成八年にWTO対象案件以上の工事ということで、二十五億円以上の工事から導入いたしました。また、民間の技術力を積極的に活用し、コスト縮減を図るといった観点から、平成十二年には七億円以上としたところでございます。さらに平成十四年度からは、大型工事である建設共同企業体発注案件の現在の金額の対象範囲まで拡大したものでございます。

〇大西委員 今の民間の技術力を活用してコスト縮減を図っていくというのは結構なことで、中には、当初予算に比べて、こういった低入札によってこれだけ財源が確保できた、これは財務当局としては大きな成果であるぐらいの声が風の便りに聞こえてくるけれども、それじゃ、財務当局は一方では積算をやっているわけで、それとの関係はどうなってくるのかという疑問も感じざるを得ないし、さらに一番心配なのは、そうやって調査の結果、品質については大丈夫だ、そうおっしゃっているけれども、コンクリートにしたって鉄にしたって、割ってみなきゃわからない部分がたくさんあるわけでしょう。仮に今後、これは五十年、何十年という耐用年数を持っている公共物で、きのうの建設委員会では、関係の議員から、こんな何十%も切ったような橋の場合に、手抜き工事が明らかだなんといっている人もいて、心配だから車じゃ走れない、これからは自転車か徒歩でその橋を渡ろうなんて冗談めかしていっていた人たちもいるくらい、品質の確保については我々も心配でならないわけですよね。
 そういう意味では、むしろ低入札価格調査制度で対応するだけでなくて、むしろ最低制限価格の対象範囲を広げていって、必要なコストはしっかりと確保できるような制度に改めていく必要があるんじゃないかなと思うんですけれども、それについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

〇竹本参事 ただいま先生から、低入札では非常に工事の品質や安全性が懸念されるというお話がございました。もっともだと思います。低入札で懸念される工事の品質や安全性、適正な履行の確保でありますので、金額の多寡にかかわらず、これらを確実に確保していかなければならないと私どもも考えております。
 そのためには、最低制限価格の対象範囲の拡大ということもあるかと存じますが、低入札に対しましては、まず十分な調査や検査の強化を進め、安易な低入札を防止していく方策を講じていくことが必要と考えております。

〇大西委員 最低制限価格の対象範囲を拡大することもあるが、それよりも今の制度をしっかりと充実していきたいというお話なんでしょうけれども、今の制度を充実していく中でもこういう問題があるんだから、私としては、この際は論戦は避けますけれども、最低制限価格の対象範囲の拡大について、もうそろそろ東京都が他の自治体や国に先駆けて先鞭をつけていくべきじゃないかということで要望をさせていただきたいと思います。
 そして、これは下請の中小企業の問題や何かにも関係しているんですね。実態としては、私たちは中小企業の経済圏の中で生きているわけですね。そういった中で、中小企業、下請者の悲鳴というのが、切実な声が、こういった工事の低入札で落札をした下請たちから、常に常に聞こえてくるんですよ。おい、今回はこんな低入札で落札したけれども、ここは損してくれよ、あと次のいい工事、もうかる工事があったらそれを回すから、そういわれ続けて、もう五年ももうかる仕事が来ていない、そういう人たちもたくさんいるわけです。
 そういう人たちは、技術力を持ち、経営意欲を持ち、そして地域に対するさまざまな責任を果たし、しっかりと頑張っているにもかかわらず、まじめな人ほど消えていかざるを得ないような実情というのが地域にあるわけですよね。ですから、ぜひ今後ご検討をいただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
 次に、低入札が減らない状況ですね、いろいろな角度から努力をしていても。品質確保のために改善策として、例えば工事現場に配置しなければいけない技術者を増員させるとか、あるいは下請との契約関係、それも実際の下請金額を下請契約書で厳密に取り交わさせて、それを調査する、そういうような取り組みを検討していってもらわなければいけないのではないかと思うんですけれども、お考えはいかがでしょうか。

〇竹本参事 現在、低入札に対しましては、積算根拠や経済状況などの書面審査に加えまして、配置予定技術者から直接ヒアリングを行うとともに、施工体制の確認や中間検査を強化するなどのさまざまな面から調査、検査の強化を図ってきておるところでございます。また、契約時には、通常は免除される企業でありましても契約保証金を免除しない、契約保証金を納めていただくというような措置も行っているところでございます。
 しかし、現実にこうした低入札が減少しないという状況をかんがみますと、ご提案のありましたような配置すべき技術者の増員の義務づけ、それから下請企業との契約の調査確認などと、さらなる対応策も今後至急に検討してまいりたいと考えております。

〇大西委員 今ご答弁にあったような、全体的なチェックだとか適正履行の確保、これはもとより必要ですけれども、一方で、低入札がふえるのは、価格のみの競争というのが先行してしまって、入札・契約制度の根本的な問題もあると思うんですね。
 問題は、もちろん税金でつくられるさまざまな公共物、社会資本の充実ですから、低価格であることは、効率的であることは大切なことだけれども、もう一つは、五十年、百年と、社会資本として、都市基盤として都民の利便に供していくこういった施設が、万が一安易な工事によって問題があるということは、これは大変な問題になるわけで、ただ価格が縮減されればいいというだけの問題ではもちろんないと思うんですね。
 そういった中から、我が党の代表質問での答弁でもあったように、今後は総合評価方式をぜひ推進していくべきである。こういったたつみ橋の施行において大きな成果が上がっているということは、我々は率直に認めていきたいと思うんです。
 そしてもう一つは、いい工事をしていく、そして地域に貢献している企業、これが公共工事を担っていくシステムというのを大きくつくり上げていくような仕組みが必要だと思うんですな。一番わかりやすくいえば、正直者がばかを見ないようなしっかりとした仕組みを我々は守っていかなきゃいけないと思うんですよね。
 こういった場合に、低価格で取得をした大手から下請に投げられる、そういったときに、良心的で技術力があって、あるいは地域に対して貢献はしていても、これでは採算性が合わない、できるはずがない、こんな良心に背くような工事は自分たちはできない、そういう人たちもたくさんいるんだ。そうすると、今度は仕事の内容なんかどうでもいい、あるいは品質なんかはどうでもいい、銭になればいいんだ、とりあえず受けようなんというような、悪貨が良貨を駆逐するような現実も、今地域の中で起きていることも事実なんですよね。事実なんですよ。
 ですから、これから公共工事の品質確保について、その観点から、またさらに十分な検討をしていただきたい。そして、総合評価方式についても、今後さらに創意工夫を凝らして推進をしていっていただきたいと思いますけれども、どのようなお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

〇竹本参事 これまでのところ、東京都では総合評価方式として二つの方式を推進しております。一つは高度な工事に適用する技術提案型、もう一つは中小規模の工事を対象とする施工能力審査型という二つのものでございます。いずれにいたしましても、この総合評価方式で価格と品質が総合的にすぐれた内容の契約がなされるよう取り組んでいるところでございます。
 今後は、この二つの方式の中間的な区分の総合評価方式といたしまして、中規模以上の工事を対象とする新たな類型の整備も必要と考えております。あわせまして、災害協定等による地域貢献の実績の評価についても検討いたしまして、東京都の公共工事の実情に合った総合評価方式の推進を図ってまいります。

〇大西委員 これから、東京都だけでなくて国の方針もあるでしょう。そして、今まさに公取が時の氏神様みたいに、正義の味方、月光仮面ではないけれども、我々は、余りにも公正取引委員会というところが権限を持ち過ぎることによって、もっと国家的な社会資本の整備だとか公共工事の効率的なあり方について、何か局面的な動きばかりが進んでいるんじゃないかと思って心配をすることも多いんですね。
 公正取引委員会というのは、あくまで目的のための手段についてチェックをする機関ですから、目的はあくまで社会資本の充実であり、国土の発展なんですから、そういった意味で品質の確保ということは大事な問題だと思うんですね。
 そういった観点で、ぜひ今後とも財務当局としても、全国自治体のオピニオンリーダーというか政策リーダーとしても、こういった問題について、国でも行き過ぎの点があれば、それを緩和させるようなしっかりとした具体的な施策を、私は財務局が、あるいは東京都が勇気を持って進めていくべきだと思うんですね。
 参事のお話はよくわかりましたので、ここで局長の決意のほどをお聞かせいただいて、私は質問を終わりたいと思います。

〇谷川財務局長 公共工事につきましては、委員ご指摘のとおり、都民の財産を築いていくという観点から、品質の確保が非常に大切であるということは認識しております。
 また一方、都は都民の税金を地域社会に還元していくという大きな目的も当然有しているわけでございまして、契約においても、そういう観点にどういうふうに取り組んでいくかというのは、今後、契約制度を考えていく上で一つの大きな要素として考えていかなければならないというふうに考えております。
 今後とも契約制度の充実に向け努力してまいりたい、このように思っております。