〇大西委員 今、世界的な、また地球的な規模で異常気象というのが心配をされていますね。これはやっぱり、何といっても地球温暖化現象によることが大きいのではないかと指摘されているわけですね。
 先月、京都議定書が発効して、地球的な規模で温暖化防止に本格的に取り組んでいこうというときを迎えているわけですけれども、この地球温暖化防止策というのが、ともすると、CO2を出さない、そういった環境規制によって、規制、規制でやっていく部分が大変多いんですね。例えば、我が東京都も自動車の排ガス規制をやってきました。これももちろん大切なことなんですけれども、これは科学的なしっかりとした根拠があるようですが、CO2を酸素に変えていくためには、人間一人で一年間で十八本の成木した杉が必要だといわれているんですね。さらには、車に至っては、いろんな車の種類にもよるんでしょうけれども、CO2を酸素に変えていくためには、おおむね八十本の成木の杉が必要だ、こういわれているわけです。
 したがって、私たちのこれからの地球環境を守っていく意味で、各種規制はもとよりだけれども、それよりもやっぱり公園整備等によって樹木の本数をふやしていくというのが、今、時代的な大きな要請があるんじゃないかと思うんですね。
 そういった意味で、諸外国と比較しますと、例えばロンドンでは、住民一人当たり約二十七平米の公園面積がありますね。さらには、ベルリンで二七・四平米、ニューヨークでは三十平米もあるんですね。そして、過密したあのパリですら一二平米といわれています。その中で、我が東京は五・四平米にとどまっているんです。世界の主要先進国の中で最も樹木が少ない、こう指摘せざるを得ないわけですね。その間、大した努力じゃないけれども、十年間で一平米ぐらいはふえてきているようですけれども、本当に遅々とした進捗状況にあるんですね。
 そして、こうした公園の整備というのが、今ともすると、開発は開発でどんどん進めていかなければならない、その基盤整備というか、都市のさまざまな施設整備を進めていかなければならないということが、ともすると道路だとか建物だとか、そちらの方に大半の費用が向いてしまって、肝心の公園整備にほとんど向けられていない。今やもう惨たんたる実情ですよね。
 例えば、私どもは都立の篠崎公園を抱えています。そして、ここで相続の関係で、広大といっても五百坪、千坪単位、一反、二反、三反単位で、この土地をぜひ、公園計画地域内なんだから都に先行取得してほしいなんという相談を我々は受けるんですけれども、これを都に持ち込んだところで、済みません、買いたいのはやまやまですけれども、銭がないんです、銭が。それがずっとここ数年続いているわけですね。そういう意味では、これから公園の整備を、これをやはり、東京の十年、五十年、百年後のまちづくりだけでなくて、世界的な規模での地球温暖化を防止していく大事な施策だと思うんですね。
 そこで、この問題について伺っていきたいと思うんですけれども、現在、都市計画公園緑地の計画面積、これは供用面積及び未供用面積を含めて伺いたいと思います。
〇成田都市基盤部長 ご指摘のように、都民一人当たりの公園面積は五・四平米ということで、世界の大都市に比べますと大変低い水準にとどまっております。東京都全体で見ますと、平成十六年四月現在で、都市計画公園緑地の計画面積は、全域で約一万六百ヘクタールございますけれども、そのうち供用面積は約四千四百ヘクタールでございまして、未供用面積は約六千二百ヘクタール残ってございます。
〇大西委員 今、未供用面積六千二百ヘクタールというお話がありましたけれども、事業化を必要とする面積はどのぐらいなのかをまずお聞きしたいと思います。
 また、東京都事業として、区市町村事業においては一年間にどのぐらいを供用しているのか、また、私どもの地元の篠崎公園についてはどのぐらいを一年間で供用に向けているのかをまず伺いたいと思います。
〇成田都市基盤部長 未供用面積の中には、河川の水面とかそれから社寺境内など、事業化が必要とされていない区域が含まれておりますので、そのうち今後事業化を必要とする面積は、区市町村事業を含めまして約二千六百ヘクタールございます。
 また、供用しております公園の実績でございますけれども、平成六年から平成十五年の過去十年間では、東京都事業におきましては、一年間に約三十ヘクタールを供用しておりますけれども、区市町村事業においては、その約半分の十四ヘクタールを供用してございます。
 また、篠崎公園でございますけれども、ここも過去十年間の平均で見ますと、一年間の供用面積は〇・七ヘクタールでございます。
〇大西委員 そうすると、都市計画面積八十六・八ヘクタールである篠崎公園をベースで事業化していくということになると、残り五十五ヘクタールになるんでしょう。すると、これは七十年かかっちゃうんですね、単純に計算すると。これは、ご承知のように都市計画決定で網がかぶっていますから、例えばいろんな利用制限というのがなされているわけですね。
 よく私どもも地域でいわれることは、何だよ、網だけかぶせておいて。そして、自分たちの先祖伝来の、あるいは貴重な生活のすべてをかけて購入した土地が十分に利用できないじゃないか。しかも、これが十年先というんだったら、まだ生活設計もできる。これが最低でも七十年もかかるということになってしまうと、我々の生活設計ができないじゃないか。生きているうちに三階建てを建てたい、鉄筋を建てたいといったって建てられない。そういうような意味で、住民から一つの大きな行政不信の原因として厳しく指摘されているところがあるんですね。
 また、都と区市町村の供用実績を足し上げた、年間四十四ヘクタールだというでしょう。そうすると、東京都全体の残りの面積二千六百ヘクタールを単純に割り返すと、六十年もかかるんでしょう。また、この都市計画の追加ということももちろんあるんでしょうから、もっとこれは、六十年じゃきかないと思うんですね。もっとかかることになるんだと思うんですよ。そして、この積算が、大変乱暴ですけれども、これらを完成させるための事業費、これは約五兆円以上かかるんじゃないかと私は思うんですね。都市基盤の整備に莫大な費用と年月がかかるということですね。それではもう、公園をこれから東京都はつくれませんよ、しかし皆さん、いつになるかわからないけれども、何世代か後に目標は掲げていますから、それまで何代かお待ちください、今のうちは我慢してくださいよと、こう行政がいっていると変わらない現実にあるわけですね。
 そういう中で、都市計画公園緑地の整備を促進するために、やっぱり知恵を出さなきゃいけませんよ。そして、その財源を生み出していかなきゃいけませんよ。あるいは、さまざまな新しい制度を考えていかなきゃいけませんよ。そういった意味で、今後どのようにこの公園建設に取り組んでいくのかについてお聞かせをいただきたいと思います。
〇成田都市基盤部長 東京を緑豊かな風格ある都市として再生させるためには、まちづくりにあわせました緑のネットワークづくりが、また、それを東京らしい緑づくりを進める必要があるということで私ども認識しております。
 都市計画公園緑地は都市の基盤となるものでございますので、委員今ご指摘のとおり、その計画的かつ効率的な整備促進を図らなければなりませんので、現在、区市町とともに都市計画公園緑地の整備方針の策定に取り組んでございます。この整備方針では、レクリエーション、防災、環境保全、景観といった公園緑地に求められております機能の評価を行うとともに、事業の重要性、効率性の観点から、重点的に整備する公園緑地を選定することとしてございます。
 また、国費の拡大など財源確保に努めることとあわせまして、既存の手法にとらわれない、新たな公園緑地の整備手法の展開といたしまして、民間の活力を活用いたしました公園整備についても検討していきたいと思っております。
〇大西委員 今、民間の活力を活用した公園整備に取り組んでいきたいというお話がありました。私は大変すばらしいことだと思うんですけれども、ちょうどイギリスで一八〇〇年代の後半、産業革命によって公害問題が発生をして、しかも産業の発展、都市づくりがどんどん進むことによって、緑がどんどんなくなってきた。さらには、あそこは貴族制度を今でも持っているわけですけれども、こういった貴族のやかたが、相続やあるいはこういった産業開発、都市開発によって失われていった。これではいけないというので、多くの心ある人たちが立ち上がって、ナショナルトラストという制度をつくったんですね。それによって、領主のやかたを寄附してもらったり、これは法改正や何か、つい最近までいろいろ行われてきたようですけれども、例えば相続によってやかたを手放さざるを得ないという場合には、その相続税を猶予して、それをナショナルトラストに寄附する。しかも、そのやかたで貴族は生活をしていくことができる。あるいは、公園整備のためにそういう庭園や何かを寄附した場合については相続税を免除する。そういったあらゆる工夫によって、あのイギリスでも、産業革命の大きな嵐の中で、緑や歴史的な貴重な建物は守られてきているんですよね。
 ですから、そういう意味で、この民間の活力、知恵を活用した公園整備を進めていってもらいたいなと思うんですけれども、どのような取り組みを考えているのかについてお尋ねしたいと思います。
〇成田都市基盤部長 どのような取り組みかということで、今大西委員いろいろご説明していただきましたイギリスの事例のようなことは、なかなかまだそこまではいかないと思いますけれども、東京都は東京都なりに取り組みをしたいと思っております。
 大きくは三つございまして、一つは、民間事業者が都市計画法に基づきまして、知事の認可を得まして行政に成りかわり都市計画公園の整備を行う、いわゆる特許事業というものがございます。それから二つ目といたしましては、防衛庁跡地の赤坂九丁目のような市街地開発事業におきまして、これらと連携いたしまして、都市計画公園緑地の準備を進める方法がございます。それから三つ目は、現在導入を検討しております、民間事業者が公園を設置して管理していきます民設公園制度というものを検討してございますので、今後、これらの三つの制度を活用しながら、地域状況に合わせましてこれらを導入し、整備促進を図ってまいりたいと思っています。
〇大西委員 成田部長、大変結構な答弁であったけれども、実態として、これが飛躍的に公園整備面積をふやすような切り札にはならないんですよ。それは部長あたりが一番よくわかっていると思うんだけれども、あえてお聞きしたいと思いますけれども、この特許事業、民設公園制度というのはどういうものなのか、この際説明していただきたいと思います。
〇成田都市基盤部長 特許事業は、民間事業者の持ち味を生かしまして、例えば臨海副都心には潮風公園の、船の科学館でございますけれども、あそこにあるものや、この四月にオープンする予定の芝公園のホテルなどとともに、民間が公園とこういう施設を整備するものがございます。
 また、民設公園でございますけれども、これは企業グラウンドあるいは多摩地方にあります屋敷林などを活用いたしまして、今実行されておりますのは六本木六丁目の森タワーでございますけれども、夜10チャンネルに出ます毛利庭園でございますけれども、このようなものを、民有地の一部を公園として公開するものでございます。この制度を現在検討してございまして、この制度設計に当たりましては、公園利用者のみならず、地主や事業者にとってもメリットのある制度となるように検討していきたいと思っています。
 私ども、今後広く都民に開放できることや緑を永続的に保全すること、また税制上の問題、それから総合的な観点で検討を進めるとともに、今後都民の理解と協力が得られるような制度を構築してまいりたいと思っています。
〇大西委員 局長、後で決意ぐらいは聞きますからね。おれには関係ないなんて顔してないで(笑声)しっかり聞いといてくださいよ。(梶原都市整備局長「きのうしゃべったなと思って」と呼ぶ)今の厳しい財政状況やさまざまな阻害要因の中で精いっぱい努力しているということは、大いに評価はしないけれども、少しは評価したいと思うんですね。ぜひそういった努力をこれからも続けていってほしいと思うんです。
 例えば、さっき臨時ニュースで、ライブドアがニッポン放送の株を五〇%以上取得したと流れましたけど、ああいった意味では、アメリカンドリームを求めて、元気のいい会社も今たくさんありますね。そして、一番CO2排出会社というのかな、自動車関連産業なんかは、トヨタですら一兆円の利益を上げているでしょう。そして、日産、ホンダですら数千億円の利益を上げているわけですね。それを、環境税や何かを導入して、ごそっと金を税金で吸い上げて、それをこういった公園整備だとか環境をよくするための施策に向けようというのは、産業の拡大に及ぼす影響というのが非常に多いんじゃないか。
 ですから、それよりもむしろ、こうしたCO2を大量に排出するような企業に、国家百年の大計のために、あるいは都民の百年のために寄附しなさいよと。あなたたちが一年間税金払うよりは、例えば百億円だったら百億円ずつ寄附しなさい。そして、それについては−−例えば篠崎公園じゃなくたっていいんですよ、うちの方は。トヨタ公園にしてもらったっていいんだ。そういう形で、子々孫々にまで企業の社会的な貢献を明らかにしていく。こういうことを、思い切って知恵を出し合って考えていったらいいんじゃないかなとも思うんですね。こういった切り札がなければ、本当の意味での公園整備の促進というのは、こうやってきれいごとの討論だけでは生まれてこない。
 そして、これは味の素なんか何で落としたか知らないけれども、東京都は先鞭をつけて、味の素スタジアム、これをネーミングでやっているんでしょう。だけれども、したたかだよね、横浜の市長は。日産と提携して、日産スタジアムになるんでしょう、あのサッカー場が。それが五年間で二十三億円も日産から分捕るんだよね。あれでしょう、十億円ぐらいにしかならないんでしょう、味の素スタジアムなんて。そういう意味では、もっとしたたかにやっていかなきゃいけないと思うけれども。
 そういう意味では、こうした形で、実際に施設の維持管理経費のために、ネーミング料によって少しでも税金の投入を軽減させようという試みも一部では行われているわけだから、例えば公園協会なんか何しているのかと思うんだな。いや、すごいんですよ、我々も民間活力の導入のために努力しているんですよといって、たまたま視察に行ったら、動物園のベンチに広告を載せている。それが何か民間活力導入だなんて、誇らしげに我々にいっている。だけれども私は、公園協会こそナショナルトラストみたいな、ああいった発想のもとに、もっと国にも働きかけて、税制面での改革も含めて思い切ってやっていくべきじゃないか。そして、寄附を受ければいいんですよ。
 例えば、東京都の五ヘクタール以上の都立公園が約六十五あるんですね。このうち、個人の寄附によってつくられた公園というのが六園しかないんですね。六義園とか向島百花園とか清澄庭園。こういういろんな歴史的な経過の中で、個人の寄附によって公園が確保されたんだけれども、もっと私はこの時代の中で、それこそ企業の社会性が叫ばれ、全地球的な規模で温暖化の危機が叫ばれているときに、グローバルな社会貢献という意味で、トヨタや日産を含めて自動車産業、あるいは東京電力とか東京ガス、こういうようなところにも働きかけてやっていけば、百億や二百億はすぐできるんじゃない。篠崎公園だって十年でできるかもしれない。
 そういう意味では、これから知恵と工夫でぜひ公園整備のために努力をいただきたいと思いますけれども、梶山局長、大丈夫ですかね。決意のほどをひとつお願いいたします。
〇梶山都市整備局長 今、大変ご示唆に富むお話がいろいろございまして、ごもっともだなというふうに思っておりますが、やはり緑というのは、いろんな意味でこれからの都市づくりの中において大切なものだと。特に私個人、個人的にもいろんな意味で、趣味でいろんなことをやっていますから、自然に対するそういった思いというのはありまして、また多摩に住んでいるというのも、実は緑があるから多摩に住んでいるということもあるので、そういうことで、緑に対する認識は、行政的にも個人的にも、十分そういうことで理解しているつもりでおります。
 しかし、きのうも知事がちょっとお話ありましたように、財源の問題がやっぱり緑というのはある。だから、そこで都市整備局としては、今残念ながら財源のことについてはここでいろんなことがいえない、こういう立場にあります。そういう中で私たちができることは何かといったら、今部長が話したとおり、いろんな意味でのガイドラインを今つくって、知恵を出しながらいろんなことをやっていますと。まして、今回のガイドラインは、道路の場合には十年に一度ぐらいは道路再検討ということでやりますが、たしか緑は五十年、三十年……(成田都市基盤部長「三十二年です」と呼ぶ)三十年ぶりに初めてそういう形で見直したということでございますので、その中には我々としての緑に対する思いを込めていろいろやっています。
 今先生からご指摘がありましたとおり、やはり、何はともあれお金がなかったら汗をかけ、または知恵を出せ、こういうことでございますので、いろんな意味で、民設公園を初め、いろんな形の中でこれから構築していこうと思っております。そういう意味では、都市整備局の総力を挙げてこの緑の問題について頑張っていきたいと思っておりますので、先生方のご支援のほど、よろしくお願いいたします。
〇大西委員 大変心強い答弁でしたけれども、何せ都市計画局ですよね、かつて。それも入ったわけでしょう。いわゆる世界都市東京の再生をかけて立ち上がった都市整備局ですからね。そういう意味では、思い切った発想の転換をしながら、新しい時代に対するビジョンをどんどん打ち出していってほしいと思うんですね。管理だけじゃなくて、そして、国の力がなければできない、法律の規制があるからできない、できない、できないじゃなくて、こういう中でできない法律があるんだったら、改正を発議していく。そして、国の姿勢が不十分であれば、その国の姿勢を変えていく。それが、石原都知事がいう、東京から日本を変えていくことなんですから、ぜひ一層のご努力をお願いしたいと思います。
 次に、指定管理者制度について伺いたいと思います。
 これは、官と民をある意味では競争させることによって、これまで官が独占してきたこういった管理に対して風穴をあけて、先ほど目的の説明があったように、住民サービスを向上する、そして管理費の縮減を図っていく。さらには、その施設の意義、目的、公益的なものをさらに進めていく。そういう意味で、指定管理者制度は、積極的に活用していけばいい部分もありますけれども、一方でもろ刃の剣で、民間活力といっても、なかなか社会的な理想に基づいて企業を営んでいくというのは、いうはやすくして行うはかたしで、やっぱり利潤の法則、利益第一主義的なことになりかねない。それによって、せっかくの施設管理が、冷たい、非人間的な風が吹き荒れるようなことになってはいけないと思うんですね。
 そして、こういった背景の中で今回指定管理者制度を導入されたわけですけれども、先ほどの曽根副委員長の質問でもこれに似たような質問がありましたけれども、やはり自民党の質問にはもっと血の通った答弁が行われるのかなという期待を込めて、指定管理者制度が導入された理由を伺いたいと思います。
〇石井参事 指定管理者制度の導入の理由についてご答弁申し上げます。
 指定管理者制度が創設のときに総務省の方から通知が出てございますが、そういったようなものによりますと、近年、体育施設、文化施設、福祉施設などにおきまして、民間事業者においても十分なサービス提供能力が認められるものが増加していること、また、多様化する住民ニーズにより効果的、効率的に対応するために、民間の有するノウハウを活用することが有効であると考えられることなどを背景といたしまして、指定管理者制度を導入したとのことでございます。
〇大西委員 そうした考え方のもとに導入していただいて、私ども、確かに当初心配していたのは、住宅供給公社が行っている管理の総費用は三百五十億円と先ほどお話がありましたけれども、そのうちの九十億円ですね、今回この指定管理者制度で運用していくのは。そして、営繕の大半が住宅供給公社に残されたというのは大変心強いことだと思うんですよ。
 これは、先ほどいったように、大手の例えば管理会社がこれを受託したとすると、結局利益第一主義で、下請が仮に地域の業者が使われたとしても、徹底的にたたいてたたいて、そしてけばまで抜いて、自分たち大企業だけが利益を懐にしてしまう。そういった事例というのはたくさんありますよね。
 ですから、そういった意味では、今まで住宅供給公社の指定工事店であるということを誇りに持って、そして、銭金の問題じゃない、ここに住んでいる、住宅に困っている人たちのために最善の仕事をしよう、そういうことで三百六十五日二十四時間、体制を整えて今までの管理をしてきた多くの零細企業−−中小じゃない、零細企業ですよね。その人たちに今後も引き続き仕事をやってもらえるということは大変心強いことだと思うんですが、今回の、そうした意味では指定管理者制度をただ導入するというだけでなくて、きめ細かい配慮をこの導入に際して行っていただいたということは、大変評価をしていきたいと思うんです。
 また、そういう中で、都営住宅というのは、一般の施設と違う、やっぱり政策目的があるわけですね。そういう意味では、一般の公の施設と比較して、都営住宅の特性みたいなものについてどういう認識を持っておられるのかを伺いたいと思います。
〇石井参事 都営住宅の特性でございますが、都営住宅は、文化スポーツ施設など都民が一時的に利用する施設と異なりまして、高齢者や障害者を多数含む都民が現に居住する施設であること、また、民間にはない大規模な団地が多いこと、さらに二十六万戸もの管理戸数があることなどの特性を有していると考えているところでございます。
〇大西委員 都営住宅は、施設の内容や規模の面でも、公園だとか他の公の施設と大きく異なっていることは明白なわけですけれども、この後、こうした特性を有している都営住宅に指定管理者制度を円滑に導入するために、どのような配慮を加えているのかについて伺いたいと思います。
〇石井参事 お答えいたします。
 指定管理者の公募は、都営住宅は先ほどお答えいたしました特性があることから、十八年度当初は全管理戸数の一割程度を目途に一部地域で実施することといたしまして、その状況を踏まえまして段階的に拡大していきたい、そのように考えてございます。
〇大西委員 公募による指定管理者の指定というのは、全管理戸数の一割程度を目途に一部地域から実施するということですけれども、これはやっぱり、一部地域といったって大変ですね、どこを指定するかは。そういう意味では、現段階で一部地域についてどのように考えているのかを伺いたいというのが一点。
 まとめてもう一つ聞きますけれども、これは一割程度指定管理者を決めるわけでしょう。この期間ですね。どの程度の期間を当面管理させるのかについても、あわせてお答えをいただきたいと思います。
〇石井参事 公募をする一部地域につきましては、現在さまざまな角度から検討しておりまして、現時点では、例えば区部及び多摩それぞれ一地域、あわせて全都営住宅管理コスト二十六万戸の一割程度とすることなどを考えてございます。
 なお、公募しない他の地域につきましては、住宅供給公社を指定管理者とする考えでございます。(大西委員「もう一つ」と呼ぶ)失礼しました。年数のご質問がございました。十八年度からの指定管理者には、当面、三年間程度の指定期間とする考えでございます。
〇大西委員 三年間というお話ですよね。そして一割程度。これはやっぱりしっかりと検証していく必要があると思うんですね。この三年間に、公社と同じように、あるいはそれ以上に適切な管理が行えるのか。そして、民間の指定管理者による管理によってどういう問題が起こってくるのか、そういったことをしっかりと検証して、さらに前へ進めていくべきだと思うんですね。
 これを、例えば三年間で一割、その次は六年間で、次の三年後は二割、大体十年で全部を指定管理者に管理をゆだねますよというような、そんな拙速なことはやっぱり避けていくべきだと思うんですよ。初めての制度ですから、いろんな問題が起きてくると思う。そういった問題についてしっかりと精査をして、検証をして、そしてそれに基づいて今後のスケジュール等を考えていっていただきたい。それを要望して、これについては局長に聞いてもしようがないから、要望をして私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。