東京都議会予算特別委員会速記録第四号


〇山本委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第三十一号議案まで、及び第百四十一号議案を一括して議題といたします。
 二十一日に引き続き、総括質疑を行います。
 この際、改めて理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、質疑の要旨をよく理解し、簡潔明瞭に答弁されるようお願いをいたしておきます。
 大西英男理事の発言を許します。

〇大西委員 本会議の論戦が三日間、そして、予特の論戦もきょうは三日目になってきたわけでございまして、知事初め理事者の皆さんがどういうご感想を持っておられるかわかりませんけれども、何か大分ストレスというか、疲労の色が顔に浮かんでいるようでございまして、私もつくづく、今回の論戦を聞きながら、共産党さんの主張を聞いていて、一体、東京にあしたはあるのか、日本の未来はあるのかという危機感を感じるんですね。
 例えば、保育所の問題ですね。ゼロ歳児一人をとってみても、公的な負担が一人三百万円もかかっているんですよ。そういう実態がわかっているのかどうか。さらに、特養ホームについても、一人当たり三十六万の公的負担がかかっている。それに対して、自己負担というのはわずか五万五千円にすぎない。
 こうしたときに、きょうもニュースでたくさんやっていましたよ、親の幼児虐待じゃないけれども、あるいは親を殺して、その相続財産で宗教団体に献金しようなんて、そんな事件も起きている。あるいは子どもを、パチンコをやっていて、そして殺しちゃって埋めちゃうなんて、そういった、一体保育はだれが主役なんだ、子どもをどうやって愛情を持って育てていくかということが−−子どもが主役なんだ。しかも特養ホームも、高齢者になって、そして生きがいのある老後を送ろうという、そうしたお年寄りたちが主役であって、その人たちに生きがいのある充実した余生を送らせていかなければいけない。
 それであるにもかかわらず、ただ、すべてを公的な負担によってやりなさい、そして、待機者が幾らだ、待機児が幾らだと、こういう論議が、あすもあさっても、そしてこれからずっと続いていったら、東京のあしたはない、日本の未来もない。そう思いながら、私は、そうした東京にならないように、私どもは建設的な立場から質問をしていきたいと思いますので、ぜひ知事初め理事者の皆さんの明快なご答弁をお願いをしたいと思います。
 まず最初に、区部周辺部環状公共交通網、メトロセブン、エイトライナーの問題についてお尋ねします。
 今、東京に夢がないんですよ。東京に希望がないんですよ。都心は再生事業がどんどん進み、臨海も、知事や港湾局長の答弁じゃないけれども、共産党は、臨海は砂漠になるといっていたんです。とんでもない。どんどん発展の一途をたどって、今や世界都市東京の顔になりつつあるじゃないですか。
 一方、区部周辺部ですよ、惨たんたるものは。これは、何の夢もなければ希望もない。その区部周辺部九区、五百万人住民の長い間の悲願がメトロセブン、エイトライナーなんですよ。今これが、消えてはいませんよ、断固消してはならないですよ。この火がだんだんだんだん小さくなりつつある。そこで、きょうはこの問題について、きょうを契機にして希望の炎が一段と燃え盛るようにご質問をしていきたいと思うわけでございます。
 もう今さら、このメトロセブン、エイトライナーの意義についてはご承知のとおりです。この関連九区のいわゆる環状方向への交通網というのは、全くありません。しかも、それによって、交通不便地域というのは、この区部周辺部においては本当に顕著なものがあるわけで、こういったことを解消して、さらには今日的には環境問題について、公共輸送機関を充実することによって、車から鉄道やバスに移っていこうという時代の流れにもふさわしい路線として注目を集めているわけです。
 都議会に区部環状公共交通網建設促進議員連盟ができたのが平成九年です。平成三年には、東京都の中で検討委員会ができてきた。そして、このころはちょうどバブルの最盛期ですよ。もう打ち出の小づちがあって、こういった公共投資はどんどんどんどんできるような時代の中で、みんなの行け行けどんどんの世論が盛り上がってきた。そして、その結果、平成十二年には、国の運輸政策審議会でようやく検討路線となった。さあ、いよいよこれからだといったら、バブルがはじけちゃって、もう公共投資悪玉論、公共事業悪玉論がこの社会を支配するようになった途端に、このメトロセブンの問題というものも大変厳しい状況に置かれてきているわけでございます。
 都市計画局長はどこに座っていますか。しようがないんですよ、検討局長といわれたって。事業局じゃないんだから。
 しかし、この間、どういう検討が行われてきたのか。そして、需要予測や導入ルート、この具体的な調査の経過について、まずお聞かせをいただきたいと思います。
〇勝田都市計画局長 都や関係九区では、本路線の整備につきまして情報交換や検討を行うために、平成十二年八月に、部長級で構成をいたします区部周辺部環状公共交通都区連絡会を設置いたしました。この連絡会では、平成十三、十四年度の二カ年にわたって調査を実施してきております。
〇大西委員 どのような具体的な、この課題について検討し、調査をしてきたのか。
 そして、例えば需要予測や何かも含めても、そうした調査の結果、現在どういう結果が出ているのかを端的にお聞かせをいただきたいと思います。
〇勝田都市計画局長 ただいまご説明申し上げました本調査でございますけれども、主に需要予測、想定されるシステム、導入空間の現況等について検討を行いまして、取り組むべき課題を抽出いたしました。
 さらに、これらの課題に加えまして、事業主体や事業の採算性、沿線地域のまちづくりとの整合等の課題についても調査、検討を行うこととなっております。
〇大西委員 需要予測の傾向から見ても、ドル箱路線とは決していえないということは、私どももよくわかっているんですよ。ですから、地下鉄であくまでこの公共交通網を整備しろとは、もういえない時代になってきたんじゃないか。例えば、LRTとか、新交通システムであるとか、モノレールであるとか、もう少しコストの安い公共輸送システムを、この際明確に決めていくべきじゃないかと思うんですよ。いつまでも地下鉄だ、地下鉄だといっているから、これは夢のまた夢になっちゃう。我が同僚議員からですら、夢だなんていうような非常識な発言が出てくるぐらいですから。
 ですから、この際は、現実的にどういうシステムが一番ふさわしいのかと、この路線に。そういったところへ今後踏み込んで調査をしていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇勝田都市計画局長 需要予測をやっておりますが、その結果では、ピーク一時間当たりの駅間ごとの乗客数が、片道で三千人から一万三千人程度ということで、いろいろばらつきもございます。
 傾向といたしますと、地域別に、ルート上の西部地域の区間において比較的高いのに対しまして、それ以外の地域では低い傾向にある、こういうようなことがございます。
 そういう意味合いで、こうした条件をいろいろ勘案しながら、どうしたシステムが適切かというようなことを考えた場合、一般に輸送システムの選択は、輸送需要や乗車距離などを勘案して行うものというふうにされておりまして、乗客数が多く、平均乗車距離が長い場合には、地下鉄、モノレール、新交通システムなどが向いているといわれております。それ以外の場合には、LRTなどの輸送システムが適するといわれております。
〇大西委員 そうした意味では、この交通システムについても、関係区とも相談しながら、新しい方向性も出していくべきじゃないかと思うんですね。
 しかも、往復二車線じゃなくてもいいんですよ。単線だっていいんですよ。駅で相互交通ができればいいわけで、今、新交通システムで、コンピューター制御でそういうことは技術的に可能なわけですよ。あるいは、需要の高いところは地下に潜らせる。しかし、一方では環七を走らせたっていいじゃないですか。それは臨機応変、それぞれの交通事情に応じてやっていけば、コストは大幅に縮減をすることができるんじゃないかと思うんですね。
 さらに、今、ヨーロッパや何かの主要都市の傾向としては、バリアフリーであって、なおかつロードプライシング的な形でLRTが復活をして、そして、それによって市内交通を円滑に進めていこうという傾向があるわけですね。
 この間テレビを見ていたら、たしかスイスのチューリッヒだったと思いますけれども、あそこで、一定規模の範囲内の車の流入をとめる、そして、その中はLRTで全員が移動をしていく。そして、車で郊外から通勤してくる人たちは、その最寄りの駅の近くの駐車場に車をパークして、そしてLRTで都心部に向かっていく。そういうシステムが既に完成されている都市もあるわけですね。そういったことも今後検討を進めてもらいたいと思うんですね。
 ところで、次にやっぱり問題になっているのは事業費の問題ですよ。こういった形でコストを削減していけば、事業費の総体は減ってくる。
 さらに、大江戸線ですよね。私もよく利用しますけれども、これは一兆円かかったんでしょう。そして、知事なんかも、当選して都庁に入ったら、大江戸線だ、りんかい線だ、みんな鉄道、ばんばんばんばん前の知事が始めちゃった、そのおかげで借金ばっかり残っちゃったといって、浜渦副知事も、その点については厳しくご指摘になっているというお話は聞いていますよ。これは、やっぱりこれからの新しい方向としては、借金だって、返せる範囲でしていかなければならないわけで、今、大江戸線の場合は、残り四千億円、有利子で調達をするスキームを東京都もつくらざるを得ない。厳しい財政状況の中で、さらにそれを圧迫しかけているんですね。
 そんな中で、きのう実は、ある会合で江戸川の区長とお目にかかったんですよ。この環状公共交通網の促進協議会の九区側の会長をやっているんですよね。会長、何やっているんだ、最近全然この話が各区から起きてこないじゃないかと、こういうような話もしながら、結婚式だったもので、一時間半ぐらい、この話をずっとやっていたんですよ。そしたら、区長、どうだい、十億ぐらい出せないか、一年間にと。いや、それはもう二千億近い規模ですから、わずか〇・五%の比率ですから、そのぐらいは決して不可能じゃありませんと。それを三十年出してみなよ、区長、三百億になるだろうと。そして、各区の区長が了解をすれば、九区で三九の二十七、二千七百億円の金が生み出せるじゃないかと思うんですよ。
 さらに、関係住民五百万人いるんですよ。それに、金を借りるんじゃなくて、株主になってもらえばいいじゃないか。その五百万人が一人一万円ずつ仮に株主になってくれたとしたら、これは三十年間でもいいんですよ。一万円、これで五百億円出るんですよ。合計すると(「二千三百……」と呼ぶ者あり)違うよ、三千百億円だよ。三千百億円の資金が生まれるんですよ。それだったら、東京都だって国だって協力してもらえるじゃないか。
 しかも、こういったさまざまな工夫を講じて建設コストを下げていけば、決して不可能な路線ではない。
 しかも、それによってどれだけの経済的な波及効果があるかということなんですよね。これは、結節する路線だけでも、二十二の鉄道と結節するわけでしょう。そして、それに伴って新駅をつくっていったら、これは大変な地域の経済波及効果が生まれてくるわけですね。
 そういった意味でも、ここで、こういった資金的な問題、建設資金の調達の問題、さらには、そうした路線を建設することによって生まれる経済的な波及効果についても、具体的に今後検討すべきじゃないかと思うんですけれども、お考えはいかがでしょうか。
〇勝田都市計画局長 今お話ありましたとおりでございますが、現時点では、需要予測とか導入システム、事業の採算性、こういったものを、一般的なものを議論している段階でございまして、お話ございましたように、この路線の整備に当たって、車の流入規制と組み合わせるとか、さまざまなそういう施策の工夫によりまして、事業の成立性といいますか、そういうことを考えていく、これも大変重要なポイントであろうというふうに認識しております。
 また、鉄道事業は、一般的に膨大な初期投資を必要とするということから、無償や無利子の資金をできるだけ多く確保することが必要でございます。今お話がございました株のお話とか、こういうようなもの、ご提案については、関係区とともに検討すべき課題というふうに受けとめております。
〇大西委員 これで関係各区や地域住民が三千百億円の資金を用意した、そうしたら、東京都だって応分の負担はしていくでしょう。あるいは国だって動いていくでしょう、国だって。そういうときに今来ているんじゃないか。
 やっぱり国も、これは知事初め関係者の皆さんのご努力で、国の負担についても新しいシステムを−−ガソリン税や何かの、道路財源や何かの一部をこれに振り向ける等、新しい局面も迎えてきているわけで、今後とも国に対しても強力な働きかけを続けていってほしいと思うんです。
 そこで、知事なんですよ。これは関係五百万人ですからね、選挙も目前ですからね。しかも、これは東京の夢ですよ。区部周辺部の、関係九区の希望なんですよ、この二十一世紀の。
 これについて、今すぐやるとはなかなかおっしゃれないと思いますけれども、こうした都市のロマンについて本当にご理解が深い、そして、どんな困難をも乗り越えて、今、外環道を初め三環状道路や何かの建設、あるいは羽田の国際化、これらについても国と積極的に話し合いを続けておられる知事に、夢あふれる答弁をぜひお願いをいたしたいと思います。
〇石原知事 この質問が出るということで、事前の打ち合わせで、何しろ相手が大西さんですから、むげにノーというと後が大変なことになる。(笑声)かといって、余り受け合ってもらっても、お金の問題のめどがとてもつきそうもないからということでしたが、私は、九区は、もしあなたのいわれるような基金というものを積み上げたら、これは随分事が違ってくると思います。
 それから、環状線といえば、外環、圏央道、いまだにあのていたらくでありますけれども、仮にこのエイトライナーですか、できたとしたら、これはやっぱり東京にとって画期的な、環七も環八も年じゅう渋滞でありますから、便宜というものをもたらすことになるとは思いますね。
 私も議員時代、大田区、品川区が選挙区でしたので、大田区がそれに該当するものですから、この話の相談も受けましたが、これは何分、都が主体の問題だし、そう簡単にはいかぬだろうという段階での話でありましたが、実はこのことを、質問を受けて思い出したのは、地下鉄だと私はとても無理だと思いますけれども、私はずっと湘南に育って、湘南で過ごしてきたものですから−−大船から江ノ島までのモノレールがあるんです。これは、こんなものをつくってどうするんだろうかと思ったんですが、今になってみますと、非常に便利な路線になっています。それで、鎌倉山の中を通っていまして、しかも、私は年じゅうその下を通るんですけれども、割と狭い交通道路でありますけれども、ほとんど自動車通行の邪魔になっておりませんし、非常に簡単な構造で、非常にたくさんの人を有効に運んでいる。
 それから、かつて広島でアジア大会が行われましたときに、日本の技術で非常に短期間に立派なモノレールをつくりまして、これはアジア全体で大変評判になったことがございますが、いろいろ工法が技術的に進んでおりますし、先般も甲州街道と鶴川街道の近くのですか、やがて京王線だか小田急が地下を潜らせるというので、今ある非常に渋滞の激しい踏切を、将来は撤去のできる柱をきちっと据えることで、橋をかけているんですね。非常に経費が安くできますし、時間も早くて、私はこれは一つのアイデア賞だなといって帰ってきたんですが、そういうものも勘案して、環八がその後どうなるかわかりませんけれども、割と今日の技術をもってすると、そう頻繁に通るモノレールでもありませんから、羽田に向かっているレールとは全然違った工法で、もっと思いがけなく安く、時間的にも早くできる可能性はあるのではないかなと思います。
 しかし、これは、最後はやっぱり、その該当の九区がお金を本当に積み上げてくれるかの問題だと私は思います。
〇大西委員 私ども議会で、区部環状公共交通網建設促進議員連盟というのをつくっていまして、今ちょっと大山会長が体調を崩していますけど、私が幹事長をやらせていただいて、この中にもたくさんの役員の方々がいますから、それぞれ関係各区に帰って、この基金を先にやりなさいと、そういう形で大いに努力をしていきたいと思いますので、また、知事、ぜひ二期目の目玉として、このビジョンを打ち上げていただいたらありがたいなと思う次第でございます。
 次に、環境問題に移らせていただきます。
 これは、この間、ある環境問題に詳しい大学の先生にお話を伺っているときに驚いたんですけれども、人間一人が出す排気ガス、これをクリーンにするために、杉ですよ、二十年以上の成木の杉、これが十八本必要だというんですね、十八本。そして、車一台が出す排気ガス、それをやっぱりきれいにするためには成木八十本が必要だと、こうおっしゃるんですよね。これは科学的にも証明されているようですね。
 しかるに、今、東京の緑はどんどん失われつつあるんですね。これは知事が書いた本ですよ、「緑の東京計画」。この中で、知事が冒頭メッセージを送っているわけですけれども、「平成十年までの二十五年間に山手線の内側の面積を超える緑が失われています。」と知事ご自身が書かれているんですね。
 さらに、ヒートアイランド現象ですね。今、熱帯夜なんかも三十日を超えるようになってきましたね。青山副知事の最近の著書によると、この百年間で地球の温度は二・四度上がったと、こうでしたか、ご指摘になっておられますけれども、そういう点では、この緑化作戦というのは大事な問題なんですね。
 それに対して昨今の−−一つは基本的には公園ですね、自治体が果たさなければならない役割は。この公園というのが、もう本当に、例えば先行取得費さえなくなっちゃった。
 それで、用地の取得というのも、国の補助金ができて、ようやく少し行われているような感が否めないわけですけれども、現在、東京都が持っている都市計画公園の総面積、既に整備された面積、残りの面積はどのぐらいあるのか。そして、過去五年の間に、用地の取得実績というのはどのようなものなのかについて、まずお聞かせいただきたいと思います。
〇小峰建設局長 都市計画決定いたしました面積ですが、三千九百二十ヘクタールで、そのうち都立公園の開園面積は千六百八十ヘクタールでございます。残る未整備面積は二千二百四十ヘクタールとなりますが、河川の水面や神社の境内地などの面積千五百十ヘクタールを除きますと、今後、用地取得すべき面積は七百三十ヘクタールでございます。
 また、過去五年間の用地取得の実績でございますが、九年度十二・一ヘクタール、十年度十五・七、十一年度十三・七、十二年度六・二、十三年度一・九、合計で四十九・六ヘクタールでございます。
〇大西委員 だんだん財政状況が厳しくなっていって、十三年、十四年の実績、二ヘクタールもない、一ヘクタール台。これで、あと残りの七百ヘクタール以上のものを確保するということになると、三百五十年かかるんですよ、三百五十年。そしてその費用は一兆九千億円ぐらいになるんじゃないかなと思うんですね。しかし、今、こうした中で、行政が果たすべき役割については後ほど述べますけれども、民間の方々の緑をふやしたいという意欲を行政が受けとめて、積極的にそれを公園建設に活用していかなければいけないと思うんですね。
 そういう点では、私はこれはやっぱり、国の歴史というんでしょうかね、民族の風土というんでしょうかね、イギリスというのはすばらしい例がありますね。これはザ・ナショナルトラスト、知事もご存じだと思いますけれども、歴史的名勝及び自然的景勝地のためのナショナルトラストというんですね。これはどちらかというと、つくるよりは守る方ですね。十九世紀の産業革命でどんどんどんどん自然が破壊されていく、これではいけないというので、一人の女性、二人の青年が立ち上がって、このナショナルトラストをつくったんですね。これが百年間の間に何と二十四万ヘクタールの土地を持っているんですね。神奈川県と同じですね。さらに、会員は二百万人を超えているといわれているんですね。国家から一円の金ももらわないで、これだけのことが行われてきている。
 やっぱりこういったことについて私たちの東京も、もっと積極的に都民に働きかけて、それは、東京の財産は都民一人一人の財産であり、そして私たちの吸っているこのきれいな空気を守ることは都民一人一人の責任なんですから、そういう意味では、それを啓発して、都民の協力を得られるようなシステムを充実していく必要があるんじゃないかと思うんですね。
 そして、今までの経緯の中で、例えば私どもが知っている大公園の中で、あの水元公園は日枝神社が寄附してくれたというんですよ。葛飾の方、知っていますか。そういった多くの方々の寄附によって設置されている公園もありますね。それが一体どういうような状況にあるのかお聞きしたいということと、今こうした民間の方々の緑化促進への情熱を受けとめて、それを促進するような努力というのが、東京都として今日までどのような形で行われてきたかについてお尋ねしたいと思います。
〇小峰建設局長 都が管理いたします公園のうち、個人、民間団体から全部または一部の寄附を受けたものは、戦前では六義園、向島百花園、蘆花恒春園、清澄庭園、水元公園の五公園で、寄附面積は十九・三ヘクタールでございます。戦後では、善福寺公園、多摩動物公園、小山田緑地、それから桜ヶ丘公園の四公園で、寄附面積は〇・四ヘクタールでございます。
 それと、民間、都民の協力を得ての緑化ということでございますけれども、都は、東京都公園協会が、都の出捐金と都民、企業からの募金により設置いたしました東京都都市緑化基金に対しまして積極的な支援を行っているところでございます。これまで、この基金によりまして、都市緑化に関する普及啓発や社会福祉施設などへの緑化助成が行われております。
 今後は、基金事業の充実を図るとともに、民間主導による、例えば日比谷公園百年記念事業や、民間の協力を得て施設整備を進めるアドプト制度など、新たな方策に取り組んでまいります。
〇大西委員 そうした都民、かつての先人たちの東京を愛する気持ちで、たくさんの公園が寄附をされた。私どももそれに感謝をしていかなきゃいけないわけですけれども、いただいた資料によると、戦前はすごく多いんですよ、財閥系の人たちがどんどん寄附してくれた。戦後は本当に微々たるものなんですね。これはやっぱり日本国民の郷土愛というか、意識というか、これが大分変わってきたのかなという残念な思いもするんですけれども、そういう意味では、公園協会だってもう少ししっかりやってもらわなきゃ困るんですよ。何を二十億円の−−基金活用型でしょう。活用型といったって、今、低金利の時代にどうするの。二十億円で幾らの金が出てくる。四千何百万円でしょう。そんなもので果たして緑化作戦なんかできるのかというんですよ。だから、それをもっと基金をふやすために、基金活用型じゃなくて、基金を取り崩してどんどん公園も買えるような、そんな大規模なものにしていくために、少し頑張ってもらわないと困るんですよね。それこそ、役人の人たちの天下り先だけの公園協会じゃいけないんですよ。もっと積極的にこれを活用してほしいということを要望させていただきたいと思います。
 また、そうした中で、これはまた最後に、知事、お考えをお聞かせいただきたいんですけれども、これは国家百年の大計ですね、緑は。そして知事は、こういった地球のきれいな空気を守り、子孫によい環境を残そうということで、ディーゼル規制や何かも勇気を持って行っておられるわけで、一方で、悪い空気を出さないようにすることも大切ですよ。しかし、いい空気をつくれる、つくっていく、そういう環境をつくっていくために、積極的な投資をこれから行っていくべきじゃないかと思うんですが、知事の所見を伺いたいと思います。
〇石原知事 先ほどイギリスの例をお挙げになりましたが、ちなみにイギリスと日本の可住面積の比較をしますと、可住面積というのは、人間が簡単に登れる傾斜度十二度以下の面積のことをいうそうですけど、イギリスは国土そのものが日本の三分の二強しかありませんけれども、何と可住面積は日本の八倍であります。ドイツは十五倍、フランスに至っては二十数倍ですね。こういう地勢学的な条件の中で、限られた平野に都市をつくって我々は住んでいるわけですけれども、東京もその最たるものでありましょう。
 ですから、日本の国土そのものを宇宙衛星か何かから眺めましたら、大体ほとんど緑なんですね。その山そのものがかなり峻険でありまして、しかもそれに対するアプローチは非常に難しくて、まあ、そびえて緑に見えるだけでありますけど、我々が生活する中で活用できないというていたらくでありますが、その中で我々、辛うじて都市に幾つかの公園をつくってまいりました。
 公園というのは、幾つかありますパブリックスペースの象徴的なものだと思いますけれども、ともかく都市の生活の魅力というものの保持のためには、おっしゃるように公園というのは不可欠だと思いますが、いかんせん、そういった地勢学的な条件の中で、しかも限られた面積に多くの人がひしめいてある日本の、東京に限らず都市で公園をつくるということは、なかなか非常に難しい、至難のことだと思います。
 しかし、やっぱり都市が今までのように平べったくなく、上に積み上げていくならば、そこにできるスペースその他も勘案して、そういったものを拡張していく努力というのは都は都なりにいたしますけれども、やはり同時に、国全体の構想といいましょうか、そういうものを踏まえて、国庫からの補助を東京としてもこれから積極的にとることは肝要だと思います。
〇大西委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 港湾局長、局長のところだって公園計画を持っているんですから、頼みますよ、あれ。海上公園構想も進めてもらわなきゃいけない。そしてさらには、住宅局だってあれでしょう、住宅とともに、その都営住宅の周りに緑を植える、そういった事業も持っているんでしょう。関係各局みんなそれぞれいろいろ持っているんだから、小峰局長ばかり頼らないで、みんなで力を合わせて東京都の緑化を進めるためにお力添えを要望して、終わりたいと思います。
 次に、ディーゼル規制についてお尋ねします。
 本年の十月にディーゼル車規制が始まります。あと七カ月となったわけですけれども、トラックを使っている事業者というのは大変厳しい財政状況の中にありますし、トラック協会や何かも、大半の事業者が赤字決算だというふうに聞いています。そういう中でも、知事の理想や、あるいは使命感に燃える今回の規制について、できるだけの協力をしていこうじゃないかということで、今、懸命の努力を事業者もしてくれているんですね。しかし、そういった中で、知事のそういった理想や正義感をビッグビジネスのチャンスだとして、そして、ユーザーに対して過大な請求をしているようなメーカー側の姿勢というものもかいま見られるんですね。
 その中で、DPFの装置、これは最初八十万だったんですよ。そして我々議会側も説明された。で、二分の一で四十万円補助する、ほかからも補助があるから、事業者の負担はそんななくていいですよといった。しかし、今私どもに見積もりが来ていますけれども、二百六十万ですよ。それは、DPF装置は百万だという。八十万なのが百万だと。しかし、取りつけのためにこれこれこういう部品とこういう手間がかかるから二百六十万だというんですよ。そして、ユーザー側の団体や何かの統計によると、二百万に近いんじゃないか、百八十万近いんじゃないか、そういわれているわけですね。これでは事業者の負担というのが大き過ぎるじゃないですか。余りにも大き過ぎるじゃないですか。そしてこれは、DPF装着によって環境問題を前進させよう、そのためには、車の利便を享受するすべての者が公平に負担をしていくんだという東京ルールにも反していくんじゃないかと思うんですね。
 そこで、DPFのこういった今日的な状況の中で、環境局の対応について、今後どのように対応していくかについてお聞かせいただきたいと思います。
〇小池環境局長 まず、ご指摘のございましたDPFの装着価格についてでございますが、現在、PM減少装置の補助申請台数が急速な伸びを示しております。その提出された申請書類から見積価格を集計いたしますと、大型トラックにつきましては、取りつけ費用等を含めまして平均約百三十万円となっております。ご指摘のように、厳しい経営環境にあります事業者にとってDPFの装着が負担になっていることにつきましては十分認識しております。
 規制への対応として、規制対象台数が最も多い元年規制車について、買いかえかDPFの装着が必要となります。このため、十五年度予算案におきましては、議会の意見を踏まえながら、買いかえを支援するため、既存の融資制度を利用できない事業者も利用可能な新たな融資制度を創設いたしました。また、DPFの装着補助総額を大幅にふやし、全体として支援の拡充を図ったところでございます。
 今後、これらの支援措置に対する利用状況や予算の執行状況などの推移を十分見きわめながら、本年十月からの規制開始までに事業者による規制への対応が円滑に進むよう、さまざまな角度から検討してまいります。
 いずれにいたしましても、今ご指摘にございましたように、事業者が大変厳しい経営状況にあることを十分踏まえまして、事業者の立場に立って、不当に価格がつり上がることのないよう、DPF価格の動向を厳しく監視し、装置メーカーを強く指導してまいります。
〇大西委員 小池局長、これ、零細企業者ですよ。五台だ、十台だ、運送業をやっている。この人たちの経営計画にとって、八十万が百三十万になった、五十万円アップになったというのは致命的なんですよ。そして、五台で二百五十万だ。これじゃもう事業をやっていけない、廃業せざるを得ないというようなことだって起きかねないんですよ。
 ですから、これについては、ぜひひとつメーカー側に対しても、便乗値上げをしないように徹底的にひとつやってほしいと思いますよ。これは我が党としても、今後、推移をしっかりと見ていきたいと思います。
 また、このDPFについて、装着後わずか三カ月で黒煙が出ちゃった、使えなくなっちゃったという例も今出てきていますね。さらに、昨年十二月に認定されたメーカーですよ、これは環境局が認定したメーカー、そこに問い合わせしたら、四月じゃないと製品ができないというんだ。四月じゃないと取りつけられませんと。こんないいかげんなメーカーを何で認定するのか、そういう問題もありますよ。
 そして、我々としては、十分な審査、認定について審査が行われたかということについて納得がし得ないような問題もあると思うんですよ。私は、この問題については、限られた時間ですから、後ほどまた別の機会でやっていきますけれども、今後こうしたトラブルのないように、メーカー側に対して徹底的に指導してくれるように要望したいと思いますけれども、ご意見はいかがでしょうか。
〇小池環境局長 ただいまご指摘ございましたPM減少装置の指定についてでございますが、性能を示すPM減少率のほか、信頼性、耐久性、安全性につきまして、試験や実走行等のデータも踏まえまして、専門家で組織する指定審査会で十分な検討を行っております。
 装置にトラブルが発生した場合には、装置メーカーが直ちに対応し、指定要綱によって、都に速やかに報告することになっております。都といたしましては、そういう場合には必要に応じて調査することにしております。
 ご指摘の、黒煙が出た件でございますが、電熱ヒーターでPMを焼く方式のDPFでありまして、車を始動させる際に、車のバッテリーの電圧が急激に低下したためと報告を受けております。既にトラブルは解消されたと伺っておりますが、詳細につきましてさらに都としましても調査してまいります。
 都としましては、今後とも、装置メーカーや装着した事業者から情報を積極的に収集し、指定した装置の稼働状況を把握しまして、信頼性、安全性の確保に努めてまいります。
〇大西委員 次に、都の補助対象について伺いたいと思うんですけれども、東京都は平成十五年度のPM減少装置及びCNG車導入の補助金については、資本金三億円、従業員数三百一人以上の事業者は対象外としたと伺っています。十四年度まではよかったんですね。ただ、これの通知なんですよ。これが、事前に何の説明もなくて、そして各ユーザーの環境問題担当者に郵送で送られてきただけだと。そして、あしたからは、十五年からはあんたたちは補助対象外ですよ、こうやられちゃったんだ。
 そして、PM減少装置というのは低硫黄軽油対応型であって、全国に事業展開しているトラック運送業界としては、四月からじゃないと低硫黄軽油の供給を全国で受けられないんですよ。
 さらには、これは資本金三億円、従業員三百一人といったって、もう零細企業に毛の生えたような、大企業とはいえませんよ。本当に経済状況、厳しい中なんですね。
 そして三つ目は、国土交通省のこういった補助というのは、地方自治体との協調補助が前提になっていますから、ですから、東京都から打ち切られちゃったら、これらの業者たちは補助の対象外になっちゃうんですよ。対象外になっちゃう。
 そこで、これは何らかの工夫をしてですよ、実際に今つけたって使えないものなんだから。だから、平成十四年度中の補助金もまだ余っているようですから、平成十四年度中に申請したものについては補助の対象にする。そして、それを装着するのは、これはメーカー側が強気で、売り手市場で、三カ月後ですよ、六カ月後ですなんていわれているんですよ、知事、実際に、実態は。そういう状況の中で、こうした補助対象事業者についても特段の配慮をお願いしたいと思いますけれども、お考えはいかがでしょうか。
〇小池環境局長 都は、条例制定後、PM減少装置の早期装着を図るために、平成十三年度、十四年度の二カ年にわたりまして、この場合は事業者の規模を問わずに、ともかく装着を促進という趣旨から補助を行ってまいりました。この間、この制度に合わせて、この制度の枠内でCNG車の導入についても補助する、こういう措置をとってまいりました。
 今後、規制を円滑に進めるためには、規制対象の多くを占める中小零細事業者の装置の装着を促進する必要がございます。そこで、先ほどご答弁申し上げましたように、十五年度は、特に経済的に苦しい立場にある中小零細事業者への支援策として補助金を予算計上したということでございます。
 ただいまご指摘がございました、大規模事業者の方に、年度末が迫っているということで、先日ご通知申し上げたんですが、できるだけの早目の申請を改めてお願いしていきたいと思います。今後、今年度予算が有効に活用されるよう最大限努力してまいりたいと思います。
〇大西委員 残り少ないので、簡単に要望して終わりたいと思いますけれども、私ども、こういった排ガス規制や何かの問題についても、その他の問題についても、理事者を初めこの都庁の職員の人たちが、やっぱり都民の生活実態というのか、あるいは経済活動の実態というのを知らないで、デスクワークでさまざまのことを行っていることが多いんじゃないかと思うんですよ。皆さんはいいんだ、それで大過なく、事故さえ起こさなければ、退職金ももらって天下り先がある。我々都民の代表である議員は、こうした住民の切実な要望にこたえて、しっかりとその義務と責任を果たしていかないと、次の機会からは出てこられなくなっちゃう。出てこられない。私たちのこういった切実な−−我々は何も、一部の業者だとか特定の団体の営利のためにここでお話をしているんじゃない。本当に都民の一人として、経済活動の一翼を担って底辺で本当に頑張っている人たちの立場に立って主張しているわけでございまして、今後とも理事者の皆さんの特段のご協力をお願いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〇山本委員長 大西英男理事の発言は終わりました。