平成12年第1回定例会
3月14日 総括質疑〔速記録〕

〇清原委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第三十一号議案までを一括して議題といたします。
 初めに、委員会の要求資料について申し上げます。
 昨日委員会として要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 これより総括質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご了承いただいております委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審議が行われますよう、ご協力をお願いいたします。
 なお、持ち時間につきましては、電光表示板に残り時間を表示いたします。さらに振鈴で五分前に一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。質疑持ち時間はお守り願います。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握し、簡潔明瞭に答弁されるようお願いいたします。
 なお、各局長に申し上げます。
 発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 大西英男理事の発言を許します。
〇大西委員 二〇〇〇年、ミレニアム最初の予特でございます。石原知事におかれましても、さまざまな困難な課題を克服して初めて編成した予算を本格的に審議する場でもあるわけでございます。二十一世紀の東京が、都民の多くの信頼と期待を集めながら、活力と希望に満ちたものでありますように、建設的な論議を展開してまいりたいと思います。
 知事初め局長、関係者のご協力、ご理解を心からお願い申し上げたいと思います。
 まず、都市新党についてお尋ねいたします。
 きょうは、マスコミが、きのうと比べるとちょっと少ないようですけれども、最近の我が都政が扱われる報道量というのは、かつてないものがあります。今、都民はもちろん、石原知事の活躍に大きな期待を抱いているとともに、東京から日本を変えるという石原知事のスタンスを日本国民も注視しているわけでございます。まさに今、マスコミ等で我が東京の記事が主流になりつつあるというのは、都民、全国民の関心ということが明らかになっているのではないかと思います。
 そして、各局長を初め都の職員の間に緊張が走っています。これは、別に恐怖政治から起きていることじゃないと思うんですけれども、この際、新しいリーダーをいただいて東京を大改革しようという意欲にあふれていると私どもは感じているわけでございます。
 さらに、外形標準課税やディーゼルエンジンの問題等々、まさしく東京都の問題提起が、国の税制論議あるいは環境論議に大きな影響を与えつつあるわけでございまして、私どもも大変心強く思うわけでございますが、こうした背景の中で、今、スターが不足していますからーー国会もですねーーそうしますと、石原都知事を担ぎ出して、権謀術数、党利党略、都市新党をつくろうなんという動きがマスコミにたびたび報道されているわけでございます。
 その折に私どもが大変心強く感じるのは、石原知事は、あくまで都政に命をかける、東京を変えて日本を変えていくんだとご表明をいただいているわけでございますけれども、まず冒頭、知事の都市新党に関する考え方を改めてお聞かせいただきたいと思います。
〇石原知事 都市新党なるものについての私とのかかわりでの、いろいろ流言飛語が飛び交っておりますが、それを聞いて舞い上がるほど私も若くもおめでたくもないつもりでございます。やりかけた仕事でございますし、まさに東京から日本を変えたいと、みんなで力を合わせて、とにかくみっちり都政を皆さんと一緒にやっていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
〇大西委員 知事の力強いご意見をお聞きいたしまして、都政の将来を憂える多くの同憂の士も、安心をしたのではないかと思います。
 それでは本題に入りまして、外形標準課税の導入と税収の見通しについて伺いたいと思います。
 地方税制度の抜本的な改革の問題については、きのうきょうの問題ではありません。今日まで議会でも多くの論議がされてきましたし、都も積極的に国に対して働きかけをしてきたわけでございます。昨年の夏には、地方税制度の改善を目指す議員連盟を私ども都議会が超党派で結成し、内田会長を中心にして、二回に及ぶ国への働きかけをいたしました。野田自治大臣やあるいは野中官房長官にも当時お目にかかってお願いをしたわけでございます。その結果ともいえると思いますけれども、地方特例交付金など多少の成果はあったと思います。しかし、抜本的には、政府税調も、地方税財政制度の改革あるいは外形標準課税問題について、何らの結論もあるいは見通しも示せないまま、今日に至っているわけでございます。
 そうした中で、我々東京が生き残るために、東京の自治を守るために、知事はやむにやまれず外形標準課税を導入したと、私どもは高く評価をしているわけでございます。
 しかし、それに対しまして、昨日の参考人から意見が述べられましたけれども、神野先生、糸瀬先生、さすが論客でございまして、我々も感銘を受けるところが多かったわけでございますけれども、それにつけても残念だったのは、杉田全銀協会長の発言です。あの杉田会長は、みずほフィナンシャル、この秋に合併をいたしますけれども、総資産百三十四兆円、これは世界一のビッグバンクになるわけですね。また、日本経済の主導的な立場にもある方です。その方が、ただただ銀行の利益のみ、銀行にとって何が不利益かのみしか発言をせず、日本経済がどういう状況にあり、地方税財政制度がどういう状況にあり、こういう中でどう改革をしていくかという視点が全く欠けているというのは、本当に残念であったと思うわけでございます。
 その中でも、私どもは聞き捨てられない問題がありました。都も議会もアンフェアである、非民主的なプロセスである、こういっているわけでございますけれども、都政の今日までの実情について、全く知識を持ち合わせていないのではないかと思わざるを得ないんです。
 先ほど申しましたように、我々、議連を結成して、この地方税制度の改革のために今日まで真剣に取り組んできておりますし、そして、各種委員会においてもこの問題については徹底的な論議を続けているわけでございます。我が自由民主党は、こうした論議の経過を経て、知事が出された勇気ある外形標準課税の導入について、基本的な賛成の立場は明らかにいたしました。しかし、これは本会議でも論議をし、きょう、このように予算特別委員会でも論議が行われ、財政委員会でも集中審議が行われる、あらゆる角度から徹底的な審議をして、都民の前になぜ今税制改革が必要なのかを示そうとしているわけでございまして、それがなぜアンフェアで非民主的プロセスなのか、私どもは理解しがたいわけでございます。
 こうした中で、知事も、昨日は、特に杉田会長の発言には、後ろで首を振り続けておりまして、やじり出すんじゃないかなと思って心配をいたしましたけれども、そうした参考人の主張を踏まえ、今日までの都議会での本会議の論議も踏まえて、知事のご見解を再度お伺いいたしたいと思います。
〇石原知事 きのうも後ろで参考人の意見陳述を聞いておりましたが、杉田さんですか、銀行を代表していらっしゃる方のご意見なるものは、終始何か後ろめたそうな感じがしまして、逆に私、同情しましたが、いずれにしろ、公平じゃないというのは全くおかしな話で、公平じゃないという文句の中で、実は非常に不公平な銀行のあり方を糊塗しようとしたような印象が否めませんで……。
 今回の都独自の外形標準課税は、ご承知のように、銀行については、もはや現行の所得課税ではとても適正な負担を求めることはできません。このまま放置しましたら、都のかかわりある、有力な財源であります、それを供給する税制に対する都民の信頼がもう損なわれかねないと判断をしまして、決断をした次第でございますし、また、他業種にもいろいろ景気による変動がございますが、いずれにしろ、銀行を眺めてみますと、不良債権を抱えての特別措置ということでしょうが、これは要するに大蔵省の金融行政の不手際というものを、銀行をカバーして糊塗する手段でしかない。
 見方によれば、銀行がお金を貸している幾つかの業種を救うという名目もあるんでしょうけれども、いずれにしろ、とにかく五年間税金を払わない、しかも片一方では、業務利益をどんどん上げていて、既に二千億の配当もしておりまして、今期も三兆円の利益を上げていながら、いろんな行政のサービスというものを受益していながら、かつ一文も税金を払わないというのは、これはやっぱりちょっと聞こえない話じゃないかと私は思います。
 そういうことで、あくまでも銀行という事業の状況を把握し精査して、銀行に限った形で対象とした、要するに税を設けました。これは、他業種に対するかかわりも含めて、決して不公正なものではないと確信しております。
〇大西委員 外形標準課税の導入に当たって、国の動きなんですけれども、一つは、この外形標準課税を全国的に広げていこうというような動きがあるわけですが、これは東京都の勇気ある決断によって国が動いてきたわけですから、これは妨げるものではないわけです。
 一方で、地方特例交付金を減額しよう、そんな動きもあるやに聞いているわけでございまして、平成十一年度の税制改正では、都民税や法人税の恒久的減税などによって七百四十五億円の影響があったんですね。そして、平成十二年度においては、恒久減税が平年度化しますから、一千三百億円の地方特例交付金が見込まれているわけで、これが入らないということになると、現在の都財政の状況から見れば大変なことになりかねないわけであります。
 都に対する制裁措置として地方特例交付金を減額するなんということは、断じてあってはならないことだと思いますけれども、所見を伺いたいと思いますす。
〇木内財務局長 地方特例交付金は、平成十一年度の税制改正によりまして、恒久的な減税によりまして減収となる地方税を補てんするために設けられたものでございます。したがいまして、その特例交付金は、制度の趣旨に基づきまして、ルールどおり交付されるべきもの、そういうふうに考えているところでございます。
 今後、国の動向を注視しつつ、必要に応じて東京都の考え方を国に対して主張してまいりたいと思います。
〇大西委員 この外形標準課税の問題につきましては、後ほど財政委員会で、重点審議が白井委員長のもとで行われるわけでございまして、その他の問題については、財政委員会の折にまた問いただしてまいりたいと思います。
 次に、地方税財政制度の改革について伺いたいと思います。
 全国の大都市を抱える自治体の多くが財政危機に陥っています。都財政の状況がここまで悪化した大きな要因には、地方税財政制度が挙げられると思うんです。地方税財政制度の改革を直ちに進めていかなければならないゆえんであると思います。
 その改革のポイントとして二つあると思うんです。一つは、景気の動向に左右されない、安定した税収確保を図らねばならないということだと思います。
 都道府県の歳入とされている法人二税は、景気による変動を受けやすいんですね。例えば、平成三年度の二兆四千億円近くもあった法人二税の額が、平成六年度には、その六割にも満たない一兆四千億円にまで減少しました。都は、地方交付税の不交付団体でもありますから、歳入全体に占める法人二税の割合は、他県と比べても際立って高くなっています。それは、都の税収構造が極めて不安定であることを物語っているわけです。
 将来にわたり必要なサービスを安定して都民に提供するためには、何としても安定的な税収が必要です。国税六で地方税四という国と地方の税負担の割合が、歳出ベースでは、国が四、地方が六と逆転している状況を是正して、地方主権を確立し、自主財源による自立した財政運営を実現するため、消費税や所得税の移譲も行っていかなければならないと、これまでも都も議会も主張してきたわけでございます。
 外形標準課税は、こうした税源配分の見直しと並んで、景気の動向に左右されやすい法人事業税を安定したものとする第一歩であると考えますけれども、所見を伺いたいと思います。
〇大塚主税局長 今回都が行う銀行業等に対する外形標準課税は、銀行業の税収が極めて不安定であり、応益課税としての事業税の機能が喪失しているなど、もはや看過できない状況にある中で実施することとしたものでありまして、都の事業税収の安定化に大きく寄与するものであると思います。地方財政にとって、税収、とりわけその大宗を占める法人事業税の安定化は、地方団体共通の願いであります。今回の都の措置が、制度としての法人事業税の安定化に向けての第一歩になるということを強く期待しております。
〇大西委員 税収を安定させるということ、それともう一つは、何といっても地方交付税制度の改革が大きな問題だと思います。現在の我が国の閉塞的な状況は、今までの国中心の社会システムのあり方が制度疲労を来した結果であり、これを、社会の個々人が主体的に物を考え、それを実行していく社会に転換していかなければ、本当の再生はないと思います。
 地方分権の推進とは、住民に身近な存在として地方自治体が自主性や自立性を発揮させていくことであり、また、我が国が再生をしていくために、社会システムを転換する中で不可欠の役割を果たすものだと思います。そして、地方分権が絵にかいたもちにならないためには、それを支える財源が地方に移譲されなければなりません。
 そこで、道路を例にとってみると、建設時に国庫補助を受けようと思えば、国に申請しなければならない。そして、それを採択するかどうかは国の権限です。さらに、国庫補助が受けられたとしても、補助金で賄われない裏負担分の財源措置が必要なんですね。そのために起債する必要があっても、起債の許可は国から受けなければならないわけです。この起債制限というのも、地方を余りにもばかにしているといったら語弊がありますけれども、国の風下に置いているのではないかと思うんですね。
 例えば、今、東京都は、税収が上がらないということで、必死の思いでそれこそリストラをやり、財政体質の改革のために血の出るような大改革を行ってきているわけですね。そうすると、国の方は、国会議員だって、二十人減らすの大変だったでしょう。そして、省庁再編だといったって、何人減るんですか、職員は。ほとんど減らないような実情ですね。そして、借金は、これは、国はすごい高速、高性能印刷機を持っていますからね、国債をどんどんどんどん発行していっちゃうんですね。そして、国の債務というのが、積もり積もって、国債を含めて六百兆円を超えている。あるいは、国鉄債務や何かを含めると六百五十兆円を超えているというような状況にあるわけですね。その中で、地方自治体は起債制限を厳しく強いられているわけです。これが本当の地方分権か、民主的な地方税財政制度かということを、甚だ疑問に思うわけでございます。
 このように、起債の問題にしてもそうですし、国庫補助金や地方交付税といった制度を通じて、地方の事業は国によってがんじがらめにされており、地方分権の推進などと口でいっても、財源の移譲がされなければ、地方が国に依存せざるを得ない実態は一向に改善されないわけであります。
 地方交付税制度は、本来、地域における財源格差を是正するという役割を持っており、それ自体を否定するものではありませんが、現在は、九七%の団体が交付団体となっているんですね。これはまさに、必要とされる地域格差是正の範囲を大きく超えて、国が地方の財源に介入している実態、国が地方の財源を支配している実態をあらわすものではないかと思うんです。
 過度の財源調整は、自治体の自主性を失わせるとともに、歳入に対する意識を薄れさせ、経営感覚を麻痺させるものと考えますけれども、所見を伺いたいと思います。
〇木内財務局長 分権型社会を確立するためには、地方自治体が自立し、みずからの責任で主体的な施策を展開できる仕組みをつくっていかなければいけないというふうに思っております。そのためには、何よりもまず財源の確保が、お話のとおり大切であると思っております。
 ご指摘いただいた地方交付税制度につきましては、自治体間の財源の調整を図る上で一定の役割をこの間果たしてきた、そういうふうに思っておりますけれども、一方では、ほとんどの自治体が交付団体となっておりますし、東京都を除いて道府県の約半数では、交付税の方が地方税よりも多いという状況になっております。そのことが自治体の財政運営の主体性を損なう面も否定できないわけでございまして、また、そうしたことが、自治体みずからの歳入の確保努力あるいは歳出の削減努力を妨げるなど、安易な財政運営の姿勢を生み出している面も、これまた否定できないものというふうに考えております。
〇大西委員 地方税財政制度の改善は、いうはやすし、行うはかたしです。今回の都による外形標準課税の導入により、地方税財政制度の見直しに弾みがついてきた。そして、全国民の関心も集まりつつあるということは、知事の大いなるご努力のたまものであると思うわけでございますけれども、一方で、それだけでよしとするものではないんですね。本当の意味での改革を実現するためには、地方交付税制度そのものをどうするのか、それに伴って税源配分をどうするのか、国庫補助金制度をどうするのかという、より本質的な国との論議が必要だと思うんですね。戦いはこれからだと思います。
 知事は、この提案を契機として、全国自治体を巻き込んで、より積極的に国に地方税財政制度に関する問題提起をしていくべきであると考えますけれども、知事の決意のほどを伺いたいと思います。
〇石原知事 おっしゃるとおりでありまして、昨年、私、初めて全国知事会なるものに出ましたが、みんな、ちんとして座っているだけで、余り活発な議論がない。私は、一つだけ申し上げたのは、今度の地方分権法は大変結構だけれども、五ヵ条のご誓文みたいで、内容が何もないじゃないかと。しかも、はっきりと、税財源の分与というのは中長期の目的だと棚上げされているわけでして、ご存じのように、国会での中期というのは六、七年、長期になると十年以上かかるような気がしますが、ともかく待ってられないから今度の外形標準をやったわけであります。
 そのときに、私、一つ発言したんですが、全然国の税調の問題になっていないようだけれども、例えば地方なら地方が、そのローカリティーを生かして文化事業をする、教育事業をする、その地方の特色を出した事業をしようと思っても、金が要るので、それに対する寄附は、外国なら、アメリカなんかは無税になっているわけですけれども、日本の場合には税金がかかる。ですから、そういう寄附に対しては、目的がはっきりしているんだから、無税のようなインセンティブをつけてくれということをいいましたが、はあというだけで、党の税調も国の税調も、それが議題になった節はございませんが、こういうことも、やっぱり全国の知事が声をそろえてやることで国は動くと思います。
 それから、これから都の独自の金もうけといいましょうか、財源というのを開拓していくためにも、かねて申しておりますが、カジノのようなこともやろうと思ってーーこれは、東京は大変な人口を抱えているし、外国の客が来ますから、必ずもうかるんですけれども、やろうと思ったら、国が法律を変えてくれない限りできません。
 ですから、これもせっついてやらせようと思いますけれども、東京都なり、うちでもやるというように、ほかの県の知事が声をそろえてこういう問題を国にぶつけることで、非常に動きの鈍い国もやっと動いてくれるのではないかという気がいたします。
〇大西委員 そういう意味でも、国を動かしていく意味で、我が東京都は、石原知事という強力なリーダーを擁しているわけで、かつて美濃部さんの時代ですかね、ストップ・ザ・佐藤とか、あたかも国を動かしていくようなことをいいながら、ドン・キホーテが水車に突撃するみたいな、そんな悲喜劇を繰り広げましたけれども、知事は、自民党、政府中央にしっかりとした基盤を持っておられる。ぜひ今後、この地方税財政制度の改革のために全力でご努力をいただきたいと思うわけでございます。
 次に、財源対策について伺います。
 十二年度予算では、財政再建推進プランに基づいて、歳入歳出の両面にわたる徹底した見直しを行い、千九百四十億円もの財源を確保できました。このことは評価するものですが、プランの収支見通しでも示されていたように、財源不足は余りにも巨額です。これを単年度で解消できるものでないことは明らかであり、財源不足の解消を実現するまでは、つなぎの財源対策を行わざるを得ませんでした。
 報道の皆さんもまだ報道が足りないと思うんですけれども、聞くも涙、語るも涙で、職員の人たちも給与削減をした。知事だって、あれは五〇%でしょう、削減をされていますし、我々都議会も一五%ボーナスがカットされて、昨年の暮れは、うちの家内もやりくり大変だったわけでございますけれども、今、我々は必死になって、給与削減なども行いながら財源不足に対処するために頑張っているということを、報道の皆さんも、よく都民の皆さんに知らせていただきたいと思うわけでございますけれども、それでも足りないんですね。それでも足りない。
 そこで、減債基金の一部計上見送りと退職手当債の計上、そして土地開発基金の廃止とによって補てんしたわけであります。これらの財源対策は、知事みずから、サンタクロースからの贈り物と称しましたが、いつまでも当てにすることはできないものです。
 十二年度の財源対策の中でも最も大きなものが、減債基金積み立ての一部計上見送りです。将来の都債の償還に備えて本来積み立てなければならない基金を半分に抑えることによって財源を生み出したわけですが、これは負担の先送りにすぎず、いつまでも続けられるものではありません。
 財務局の説明によると、平成四年度以降、都税収入の減少に伴い、都債を大量に発行してきており、十二年度末の都債残高は七兆六千億円にも達すると見込まれています。都債の償還は、ピーク時には八千億円以上と聞いています。このような大量償還に備えるのが減債基金の積み立ての目的であったはずですが、今の残高では少なくないのかと心配でならないわけであります。
 いつから減債基金積み立ての二分の一の計上を行っているのでしょうか。これまでの積立見送り累計額は、十二年度で予定しているものも含めて幾らになるのかをお聞かせ願いたいと思います。
〇木内財務局長 減債基金の積み立ての一部見送りは平成九年度から行っておりまして、その累計額は、十二年度予定分を含めまして約三千九百二十四億円となる見込みでございます。
〇大西委員 これ、大変な額になりますよね。そして、このままずっと基金の一部見送りを続けると、どうなるのか。財政再建期間の最終年度は平成十五年度ですけれども、これ以降については満額積み立てに戻せば、基金は底をつくことがないのかどうか、伺いたいと思います。
〇木内財務局長 減債基金には二つの機能がございまして、その第一の機能は、年度間の公債費負担の平準化を図るための機能でございます。二つ目の機能は、経済事情の著しい変動による財源不足時に都債の償還財源を確保する、いわば財政運営の安定化に資するという機能、以上二つが機能であるというふうに考えております。
 今後の公債費は、お話のとおり、かつての大量発行した都債の償還を迎えるために、平成十四年度以降急増いたしまして、以降、高水準の状態がしばらく続くわけでございます。
 こうした中で、ご質問のように、仮にこのまま基金の積み立てを二分の一に減額し続けた場合には、平成十七年度には基金の残高がゼロとなる見込みでございます。この場合には、以降、多額の都債の償還については、すべてその年度の都税をもって充てることとなり、都民サービスへの影響は避けられないというふうに考えております。そのことがまた、減債基金の持つ二つの機能いずれも果たし得なくなっている状態であろうというふうに思っております。
 また、十五年度からルールどおりの積み立てに戻すと仮定した場合には、基金残高がゼロという事態は免れることができる見込みでございますけれども、各年度の取り崩しに必要な最小限の残高を維持する、確保するのみにとどまり、いわば自転車操業の状況であるわけでございます。つまり、減債基金の第一の機能である公債費負担の平準化の機能は辛うじて果たし得るわけですけれども、第二の機能であるところの財政運営の安定化に資する機能は、引き続き損なわれることになろうかというふうに思います。
 したがいまして、今回の二分の一の措置については、あくまでも緊急避難的なものであり、減債基金の積み立ては、将来の償還に備えまして計画的に行っていく必要があろうというふうに思っております。
〇大西委員 今、木内財務局長から、あくまでこれは緊急避難的な措置、財源対策であるということが述べられましたけれども、これは、基金が底をついて、将来対応ができないということになれば大変なことになると思います。可能な限り早く、こうした財源対策に頼らない財政運営に転換することが大切だと思うんですね。
 そのためにも、一層の財政構造改革を推進するべきであると思いますし、入るをはかる意味でも、地方税財政制度の改革も進めていかなければならないと思いますけれども、知事の所見を伺いたいと思います。
〇石原知事 これもおっしゃるとおりでございまして、財政の主眼というのは、やはり出るを制して入るをはかるということで、そういう意味でも、この間の外形標準を思いつきましたが、しかし、税制だけでは、都の抱えている権限に限界がありますから、先ほど申しましたカジノでありますとか、そういうことで、東京の特性を生かしながら、ひとつ実入りを図っていくということもしなくちゃいけないと思いますし、できれば、後楽園で中止になってしまった競輪も、建物もしっかり新しくなりまして、雰囲気も違いますから、昔ともちょっと違ったイメージーー私は競輪やったことありませんけれども、ああいうものも活用したらいいんじゃないかと思います。
 いずれにしろ、まさに緊急措置で何とか土俵を割らずに済みましたけれども、これ、来年、再来年やるわけにいきませんのでーー先般も、ソフトバンクの孫君とビル・ゲイツと東電が組んで新しい情報会社をつくると。これは、東電というのは、東京都が大株主で、東京都が地主なわけですから、全然連絡なしじゃおかしいじゃないかと私は文句をつけました。その後どういうふうになっているか知りませんけれども、これだって、一つの会社が外国の資本を入れて情報を管轄するというのは非常に危ないこともありまして、私は総理にも、郵政の問題じゃなしに、国家の全体の見地で、こういう競争社をつくったら、育てたらどうだといいましたが、国に尋ねても、頼んでも、らちが明きそうもないので、ひとつ東京で新しい情報会社をつくって、もうけるならもうけたらいいんじゃないかと。今、その設計図も、ある機関に委嘱してやっておりますが、いずれにしろ、東京は東京の特殊な状況がございますから、いろんな財産を持っているわけですから、可能性を、それを生かして、ひとつ皆さんからも知恵をいただいて、東京独自の金もうけというのはやっぱり考えなくちゃいかぬと思っております。
〇大西委員 今、ちょっと脱線するようでございますけれども、知事はカジノとおっしゃっていますが、カジノは現行法律の中でもできるという評論家の人がいますね。パチンコが今やられていますでしょう。景品にかえることが認められているんですね、あれは一万円とかいうんですね。私はパチンコはやったことがないんですよ。だけど、ここら辺にはパチンコの名手もたくさんいますけれども、何かいろんなチップみたいのをもらって、パチンコ屋の外へ行くと、現金にかえてくれる。これは本当にカジノと同じですよね。
 だから、こういうような形で、きょうは警視総監はいませんけれども、警察さえ暗黙の了解が得られればカジノはできるんだ、こう、法的にできるんだという人もいますので、ぜひご参考にご研究をいただければありがたいと思います。
 次に、都区制度改革について伺います。
 清掃事業の特別区移管などを内容とする都区制度改革は、いよいよ来月から実施され、五十余年の長きにわたり展開されてきた特別区の自治権拡充運動は、ようやく実を結ぶことになるわけでございます。この間、私どもも、あるときには区議会で自治権拡充運動を進めてきましたし、また、都議会自由民主党や都議会全体としても、この問題には全力で取り組んできたわけでございまして、法改正を実現し、いよいよ四月から実施に移されるわけでございます。
 今回の都区制度の改革の中で一番の問題であったのは、都区の財源配分問題でございました。移管事務等の運営に支障が生じないよう、事業費を財源配分に的確に反映することなどを基本として、先日、都区の正式合意がようやくなされたわけでありますけれども、一時は、我々都議会自民党や公明党さんのところに区長会や議長会の皆さんが押しかけてきて、まあ都はとんでもない、自分たちが財政危機を起こしてしまって、金がないからといって、我々特別区までいじめるなんというのはとんでもありませんということで、皆さん各区選出なんですから、しっかり頑張ってくださいというんでハッパをかけられたわけでございますけれども、ようやく実を結んだわけでございます。(発言する者あり)また共産党に行ったかどうか、私は聞いていませんけれども……。
 初めに、今回の財源配分問題における都区の最大の課題であった清掃移管事業の経費算定について伺います。
 清掃事業は、巨額の財源を要し、経費の年度間変動も激しい事業です。また、移管当初の不測の事態にも備えておく必要もあります。清掃事業の実施に支障がないよう経費が算定されているのか、まず伺いたいと思います。
〇横山総務局長 ただいまお話がございましたように、本当に長年の懸案でございました都区制度改革は、都議会の先生方のご尽力のおかげで、いよいよ来月から実現されることになりました。このことにつきまして、まず心から御礼を申し上げます。
 そこで、清掃事業経費についてでございますが、都区財政調整としましては、平成十二年度から十七年度までの所要経費を的確に推計しまして、十二年度は一千二百五十七億円を算定いたしております。また、これに加えまして、移管当初において捕捉し切れない需要に対応するため、清掃業務円滑化事業経費三十億円を措置いたしております。さらに、この財調のほかに、経過的な人件費等の不足分につきましては、別途交付金で対応することといたしております。
 こうした財源措置によりまして、基本的には、特別区の清掃事業の実施には支障が生じないものと考えております。
〇大西委員 今、事業実施には支障がないように算定したとのことですけれども、特別区の財政を総体的に見ると、今後の安定的な財源確保については、いろいろな不確定な要素があります。老齢人口が急速にふえてきています。介護保険の需要が急増することなども見込まれるわけでございますが、こうした意味では、毎年、今までは財源配分率を協議していたわけでございますけれども、今後はどうなるのか伺いたいと思います。
〇横山総務局長 今回の都区制度改革によりまして、特別区は財政自主権が強化されまして、より計画的、安定的な財政運営を行っていくこととなります。こうした考え方に基づきまして、十二年度以降の財源配分率は、中期的に安定的なものとすることを都区間で合意をいたしております。
 こうしたことから、これまでのように、毎年度配分率の協議を行うことにはならないものと考えております。
〇大西委員 中期的に安定的ということですけれども、介護保険の保険料の見直しが三年後に予定されていますね。そして、国もいいかげんですからね、選挙対策でいつ税制改正して減税なんていい出すかわからないんですね。それはそっくり地方が受けざるを得ないんですね。国との税源配分の中で不確定要素もたくさんある、そういう意味では、財源配分のための見直し協議が必要となる場合もあるのではないかと思いますけれども、所見を伺いたいと思います。
〇横山総務局長 ただいま申し上げましたように、今回決定されました財源配分率につきましては、中期的に安定的なものとして、一定の期間は継続されるものと考えております。
 ただ、ご指摘のように、今後、大規模な税制改正でありますとか法改正などに基づく都区間の役割分担の変更、あるいはその他重大な状況変化などによりまして、特別区がどうしても対応できない、こうした事態が生じる場合も考えられます。その場合は、配分割合の見直しのための協議が必要になると考えております。
 なお、こうした考え方につきましては、去る二月十日の都区協議会におきまして、今後都区で協議すべき課題として確認を行っているところでございます。
〇大西委員 基礎的な地方公共団体として新たに出発する特別区が、今後の事業執行に支障を生ずることなく、自主的、計画的に財政運営を行えるよう、今後の財源配分割合の変更に関して、都が柔軟に対応されることを、この際強く求めておきたいと思います。
 次に、都市交通対策などについて伺いたいと思います。
 もう二十一世紀は目前ですけれども、東京が外に対して、国際都市として都市間競争を勝ち抜いていかなければならない。海外から来た方々が異口同音にいうことは、空港からのアクセスが悪い、あるいは交通渋滞で都内を仕事で飛び歩くにも大変時間がかかってしまう、そして東京で一日仕事をすると、ワイシャツが排気ガスで真っ黒になってしまう、そういうような声すら聞こえてくるわけでございます。快適で便利な都市生活を送れる都市として東京が持続的に発展をし続けるには、効率的かつ快適な人や物の移動を保障する都市交通を確立する必要があるわけでございます。
 都市交通の有力な手段である自動車は、人々の生活都市活動の隅々にまで入り込んでいます。もう一軒に二台、三台の時代だといわれているわけですけれども、二十世紀の文明の一つの大きな特徴ではないかと思いますが、しかし一方では、自動車排気ガス公害であるとか交通渋滞、交通事故など、自動車がもたらす課題は大変多いんです。こうした課題に勇気を持って取り組み、二十一世紀にふさわしい風格のある成熟型都市東京を実現していかなければならないと思います。
 自動車交通の円滑化を図り、公害のない、便利で効率的な交通体系を整備するためには、私は、自動車そのものの改良をすることはもちろんですけれども、自動車交通量を抑制し、鉄道など公共交通に人や物の流れを移転するとともに、まだ不足している、特に環状面での道路を体系的に整備するという総合的な対策をとる必要があると考えています。
 そこで、まず初めに、自動車対策について伺いますけれども、知事はかねてから、都民の健康をむしばむものとして、ディーゼル車の排気ガス対策について先導的に取り組まれています。自動車工業界などに対しても、ひるむことなく、自動車の改良に協力を要請するなど、積極的な姿勢で努力を続けられ、高く評価するものであります。
 先般、知事は、ディーゼル車を対象として、排ガスに含まれる微粒子の除去装置、いわゆるDPF装置を義務づけることとし、平成十五年から段階的に規制をしていくと発表しました。欧州連合では平成十六年、アメリカでは平成十九年から、DPFの装着が必要となるような厳しい排ガス規制の実施を求めていると聞いています。国は、これに対しては何らの目標値も設定していないわけでございまして、都のこうした努力は高く評価されるものと思います。
 この措置には、都内の登録車両だけでなく、都外からのディーゼル車も規制の対象となるとのことですが、その実効性をどのように担保していくのか、法的問題やチェック方法など、今後の検討を伺いたいわけです。中には、特に国レベルから聞こえてくる話は、これは法改正を待たなければできないんではないかというような意見も述べられているようですが、今後の検討の方向をお伺いしたいと思います。
〇齋藤環境保全局長 都内を運行するディーゼル車のうち、都外の登録車は約三割ございます。大気汚染を改善するためには、都外から流入するディーゼル車についても規制が必要と考えております。
 このため、都外から自動車が多く集まるトラックターミナルや事業所などの施設の管理者に、施設を利用している都外登録車についての情報提供を求め、都外登録車に対するDPFの装着等の指導を行うことなどが必要と考えます。
 また、違反車両の識別などの具体的なチェック方法についても検討を進めております。
 これらの規制方法につきましては、現在、関係省庁と法的問題についても協議を進めておりまして、今後、実効ある方策の実現を目指してまいります。
〇石原知事 今大事なご指摘がございましたが、この問題はしょせん国の責任でありまして、国がその気になって動けば、実はもう東京に限らず全国的に対策ができて、死なずに済む人がたくさんできるわけですけれども、そういう点では、ちょっとやっぱり国の行政というのは、鈍感で怠慢だという気がいたします。
 今、局長が申しましたけれども、例えば、そういう違反の車をどうやって捕まえて、どういうふうにペナルティーを食わせるかということも、全部警察の業務にすると非常に厄介なことになりますし、一般のここらの市民が協力できないかというと、そうするとまた刑事訴訟法の問題その他ありまして、今、それを討議しております。
 やっぱり東京から新しいそういうパターンをつくっていくことも必要だと思いますが、そもそも国が軽油というものに対する税法を変えれば、一挙に解決する問題も出てくるわけですし、それから今、ガソリンの方は庫出税ですけれども、軽油の方は消費税になっておりますから、末端でごまかして不純物を入れても、結構日本のディーゼルエンジンで走るんです。走るだけにばい煙を出すということで、それもやっぱり国が本気で考えれば、軽油の値段の変更、あるいは税法を思い切って変えるということで、随分この事態は変わってくると思うんですけれども、これ、近々、私、役所にいってもしようがないんで、環境庁の大気局の局長が来て、東京でやってくれて助かりましたよと。助かるといわれたら、これしようがないんで、ちょっと総理にじかに申し上げて、本気で動いてもらおうと思っております。
〇大西委員 次に、このDPF装置の装着の費用が大変高額になるといわれているんですね。一昨日あたりの新聞ですか、アメリカの化学メーカーや、三菱、ボルボ社が低価格の浄化装置を開発中であるというような記事も見られました。一台二百万から四百万ぐらいかかるといわれているわけですが、この装置普及のため、低コスト化が必要だと思いますが、どのように取り組む決意なのか、伺いたいと思います。
〇齋藤環境保全局長 DPFの価格についてでございますけれども、今後規制を行うことによりまして、需要が大幅に拡大され、そのため量産により低廉化が図られる、このように考えております。
 現在、学識経験者やメーカーなどの意見も聞き、DPFの認定基準の検討を進めております。この基準を来年度早期に公表することなどにより、さまざまなメーカーがDPFの開発に参加して、低廉で効果的なDPFの開発供給が可能となるように努めてまいります。
 また、より低廉なDPFを普及させるためにも、軽油の低硫黄化が必要でございます。このため、国や石油連盟に対して、軽油の低硫黄化の早期実現を求めてまいります。
〇大西委員 DPFの義務化に当たって、いわゆるバス事業者だとか、あるいはトラック事業者であるとか、中小企業の建設機械等を持っている事業者、これらの負担というのは、現在の段階では、技術開発が進まなければ大変なことだと思うんです。そして今、例えばトラック業界や何かも、東京都内、私どもの地域にも零細な業者がたくさんいますけれども、トラック五台だ十台だ、そして六割が赤字決算をしているといわれているんですね。こういった事業者が一台二百万だ、四百万だの装置をつけなきゃいけない。しかも、この取りつけには、現在のところは一週間ぐらいかかるといわれているんですね。その間、車や運転手を遊ばせておかなければならない。こういう対策や何かもあるわけでございまして、我が党としては、別に知事をおどかすわけじゃないんですよ、外形標準課税みたいに簡単にこの問題はいかないんじゃないかと思いますよ。我々も必死に地域で頑張っている事業者の皆さんに、あしたから死ねとはいえませんからね。そういう意味では、中小の事業者向けの助成策が必要なんではないかと思うんですね。
 例えばこの費用の負担というのは、事業者だけが負担するというのはこれは片落ちじゃないか。やっぱりメーカーも負担すべきだし、あるいは軽油業者も負担すべきであるし、クリーンな空気を吸う都民も負担すべきであるし、あるいはそういった事業者らによって運ばれる乗客であるとか、荷物や何かについても、それぞれ社会が応分の負担をしていくようなシステムを確立していかないと、これは成功しないんではないかと思いますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
〇石原知事 これもご指摘のとおりでございまして、やっぱりこういう問題については、かつての四日市の公害とか水俣のチッソの水銀公害と違いまして、つまり自動車という文明の便宜に、すべての国民、都民があずかっているわけでありますから、いろんな形でユーザーがそれぞれ便益をこうむっている、それに対する対価というものを、私たちはやっぱり健康というものを考えて意識しなくちゃいけないと思います。
 ということで、その前提に必要なことは、つまり汚染された大気の被害者は国民、都民であると同時に、加害者も自分自身であるという、そういう文明のメカニズムというものを周知徹底することで、おっしゃったように、万民がこういったもののコストを負担するという非常に多角的な制度が確立されていくものと思います。
〇大西委員 次に、自動車交通量の抑制を目的とする交通需要マネジメント、いわゆるTDMについてお聞きしたいと思います。
 TDMは、都民や事業者などがライフスタイルや社会経済システムを変革して、自動車の効率的な利用や使用の抑制、さらには公共交通などへの利用転換などを図るものであり、いわば自動車使用のあり方を抜本的に見直していこうとするものです。そのためには、東京のような過密都市の中では、利便性を享受している都民や事業者などとのコンセンサス、理解と協力が大前提にあると思うんですね。
 ところが、自動車使用の問題は、被害者と加害者の利害が異なることから、TDM施策への協力に当たって、インセンティブが働かないということも考えられます。こうした意味で、都民の理解と地域の協力を得るということが、この施策を推進する第一のキーポイントだと思います。
 知事は、TDM施策を進めるために、どのようなスタンスに立って都民の理解と協力を得ていくお考えなのかをお聞かせいただきたいと思います。
〇石原知事 今申し上げたことの繰り返しになりますが、やっぱりユーザーも同時に被害者であり加害者であるという、そういう文明の公理というものを踏まえて、幅広くそういう意識を周知徹底させ、その上で都民の協力を得るような努力を飽かずに続けるべきだと思っております。
〇大西委員 国に対しては厳しく、都民に対しては優しい知事のご発言を聞いて安心しました。
 また、この中でも重要な施策として、知事は、シンガポールで既に導入されているロードプライシングを検討するといっています。ロードプライシングを実施するに当たっては、どこに規制ラインを設けるか、いわゆるコードンラインの設定が大変重要な意味を持っています。私どもも何回かシンガポールへ行っていますけれども、本当に快適で環境のいいすばらしい都市に生まれ変わっている。あのシンガポールの市民のコンセンサスをしっかりとロードプライシングは獲得をしているわけですけれども、東京は、これ大変だと思うんですね、大きいですからね。
 これまでいろいろなコードンラインが検討されているようでありますが、このコードンライン設定に当たって最も考慮すべきポイントは何か、また、このマンモス巨大都市東京での実現可能性という点ではどういうものか、お聞かせいただきたいと思います。
〇柿沼政策報道室長 ロードプライシングの実施に当たりましては、対象車種だとか課金の額、あるいは今お話にございましたようなコードンラインをどこに設定するかなど、多くの課題がございます。
 お尋ねのコードンラインの設定に当たりましては、どこに引くかによって、それぞれ都内全体の交通量や自動車排出ガスの削減量がどうなるのか、あるいは施策の実施によってもたらされる社会的な影響にどんなものが出るのか、またコードンライン周辺地域への影響や設備の設置条件など、多くの検討課題がございます。それに加えまして、道路や公共交通機関の整備状況も踏まえる必要がございます。いずれも重要な問題であると考えています。
 困難な課題は非常に多いわけでございますけれども、これらを克服しながら、都民の方々の理解と協力のもとに施策の実現に努めていきたい、このように考えております。
〇大西委員 このTDMの重要な側面として、やはり鉄道等の大量公共交通網の整備というものが大事だと思うんです。そういう意味では、ことしの十二月に開業予定の地下鉄十二号線ーー大江戸線といわないと知事に怒られますね、地下鉄十二号線は、都心部において人の流れを大きく変えて、都心周辺部の都市構造をも変革しかねない意義深い路線であると思います。
 先般の運輸政策審議会の答申十八号で示された区部周辺部環状公共交通、いわゆるメトロセブン、エイトライナーも大事な路線だと思います。山手線の外側にあって、かつ武蔵野線の中側という位置で、東京のまちを環状方向に結ぶ交通機関であります。この路線も東京の都市を大きく変えるきっかけとなるものと期待しています。我々都議会も議連をつくって国に要請するなど、いろいろと行政とともに努力をしてきたわけでございますけれども、それこそ昭和五十年代から始まったこうした取り組みの中で、ようやく運輸政策審議会で位置づけられたという、はるか長い道のりを歩み続けているわけでございます。
 この路線の整備に当たっては、長大路線であることから、都の試算によれば、二兆円を超える事業費がかかるとされています。この事業の資金調達方策については、都として今後どう検討していかれるのか。まじめに検討してほしいんですよね。もう十年一日、答弁は変わらない。
 また、この路線は、さきにも述べたとおり、自動車交通からの転換を促進するために有意義な路線です。そういう意味では、自動車利用者も多くの便益を享受する路線ですので、ガソリン税をよこせとはいいませんけれども、インフラ補助に準ずる制度を国に要望していくべきではないかと思いますけれども、見解を伺います。
〇成戸東京都技監 区部周辺部環状公共交通につきましては、ただいまご指摘いただきましたように、二兆円を超えるという膨大な事業費の確保を初め、多くの克服すべき課題がございますことから、さきの運輸政策審議会答申におきましても、今後、整備について検討すべき路線と位置づけられたところであります。
 本路線の整備に当たりましては、新たな事業手法の確立と、国を初め関係区等の幅広い支援や協力を得て財源を確保していくことが、これは不可欠でございます。このため、今後、関係区と協議を深めますとともに、現在、運輸政策審議会の鉄道部会におきまして審議されているわけでありますが、建設資金確保のあり方等の検討状況、こういったことを踏まえながら、適切な時期に、国に対して新たな制度による支援策を要望するなど、さまざまな課題に取り組んでいきたいというふうに考えております。
〇大西委員 今、議場の中から、検討局長なんていう不規則発言がありましたけれども、成戸東京都技監、我々は本当に感謝しているんですよ。こういう路線を位置づけるために、今日まで都市計画局を中心にして大変なご努力をいただいてきて、ようやく実現に向けて大きく一歩を踏み出したわけでございまして、日ごろのご努力に心から感謝を申し上げながら、さらにもう一歩進んでご努力をいただきたいと思います。
 これは、石原知事のご登場をいただいて、区部周辺部環状公共交通網というのは、私も江戸川区で対象でございますけれども、ご当地ソングじゃないんですよ、東京のまちを変えていく、二十一世紀にとって大事な基幹路線ではないかと思うんですね。そして、都議会はもとより、地元区あるいは地元住民も早期整備を熱望しているんです。関係住民は八百万人ですよ、知事、八百万人ですからね。
 この際、本路線の今後の取り組みについて、知事の力強い所見をお伺いしたいと思います。
〇石原知事 大西さんの力強い質問にひっかかって私が余計なリップサービスをしないように、当局がつくりましたメモには、この紙だけ要注意と書いてありますが、(笑声)私は、これはやっぱりできるにこしたことはないと思うんです。そこにいらっしゃる大山さんと一緒に、私、大田区を選挙運動のときにこの問題を随分検討しましたが、いつになってできるかなあと二人で顔を見合わせたものですけれども、とにかく、今非常に大事なお話が一つあったんです。
 これ、ガソリン税を目的税にしたのは田中角さんですよ。あれを決めてから、日本の高速道路というのは瞬間的によくなった。だから、ガソリン税なるものは毎年毎年じゃぶじゃぶ入ってくるわけですから、この使い方って政府はやっぱり考えるべきだと思うし、まず、その段階には首都移転なんていうばかな計画はぶっつぶして、ならば首都としての東京をいかに充実させるかということで、この問題が出てくるべきだと思いますんで、そういう手順で一生懸命頑張ります。
〇大西委員 我が都政始まって以来の歴史的な前向きな発言をいただきまして、本当に心強く思います。それこそ思うんですけれども、整備新幹線なんか、あれ採算性なんかありませんよ。国の財政が破綻する元凶だといってもいい過ぎでない。しかし、あんなのはどんどん決めていっちゃっているんですよ。そして我々の、本当に地方の交通不便地域の足となる、大都市の町の構造を変えていこうとする、こういう施策に対しては、採算性がどうだとか、もう聞くにたえないようなことを平気でいっているわけでございまして、これに立ち向かって国の流れを変えていくのもやっぱり知事の政治力でございますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
 既存のストックなどを活用してTDMを促進し、また公共交通網を整備していく、そしてもう一つ、道路を整備することも、これは大事なポイントではないかと思います。
 そこで、まず東京外郭環状道路について伺います。
 これも長年の懸案でありますけれども、昨年の第四回定例会で、我が会派の同僚議員の質問に対して、知事は、今後、地元と話し合う機会を設ける努力をしたいと、積極的なご答弁をいただきました。現在どういう状況になっておるのかを伺いたいと思います。
〇成戸東京都技監 東京外郭環状道路の今後の計画の具体化に向けましては、地域住民と十分に話し合うことが不可欠でございます。その第一歩といたしまして、地元の住民団体に対しまして話し合いの呼びかけを行ったところでございます。今後、日程等につきまして具体的に調整をするなど、話し合いの機会を持つ努力をさらに続けてまいります。
〇大西委員 次に、東京第二湾岸道路の問題について伺います。
 大分時間が押しておりますので率直にお伺いしたいと思いますけれども、現在の湾岸道路の混雑状況の解消を図るために、早急に計画を進めていかなければならないと思いますが、いかがでしょうか。
〇成戸東京都技監 第二湾岸道路につきましては、現在の湾岸地域の交通混雑を緩和するとともに、外環や圏央道と一体となって首都圏の環状方向の道路ネットワークを形成する観点から、早期整備が求められているところであります。
 都内区間の計画の推進に当たりましては、お話にありました千葉県三番瀬の埋立計画の動向などを踏まえますとともに、ルートや市街地へのアクセスの方法等について、さらに検討を進めてまいります。
〇大西委員 次に、航空政策について伺います。
 羽田空港の国際化につきましては、国にも強く要請するという知事のたびたびご発言がございますので、これは先に進めさせていただいて、その後です。羽田空港が仮に国際化されたとしても、二十一世紀の初頭に首都圏全体での空港容量はパンクするのは、目に見えているわけでございます。
 そこで、首都圏第三空港、あるいは湾央第三空港なんていうと、これ政治的にいろいろ問題があるわけでございますけれども、第三空港問題、これはやっぱり積極的に今から東京都として取り組んでいくべきだと思いますけれども、知事のご所見を伺いたいと思います。
〇石原知事 何しろ東京を中心にします首都圏メガロポリス、埼玉、千葉、神奈川、この三千三百万の人口を擁する首都圏に、国際線の滑走路が成田で一本しかないというのは、これは本当に恥ずかしい話であります。この間、アメリカの議会のある連中が、日本が成田をちゃんと整備しないのは非関税障壁の一種だといってばかなことをいいましたが、ありがたいような話でもありましてね。まあ横田との関連も考えておりますけれども、いずれにしろ第三空港が必要なことは自明でありまして、間もなくスーパーソニックが飛ぶ、ニューヨークと東京が四時間で結ばれる時代に四千メートルを超す滑走路がないのは、本当に首都の資格も問われますので、私は、やっぱり有効なスペースといえば東京湾しかないと思います。
 これはもう神奈川県とか千葉県の水域云々ではなしに、国が主体性を持って、主導性を発揮して、国策として一刻も早く、日本のために、首都のために第三空港を着手すべきだと思っておりますし、かねがね主張してまいりましたし、また、知事の立場で強く政府にも要請いたします。
〇大西委員 力強いご答弁をいただいてありがとうございます。
 次に、営団地下鉄の脱線事故について伺いたいと思います。
 死亡者や多くの負傷者を出すという、地下鉄の長い歴史の中では最悪の事故となったわけです。そこで、まずは今回の営団地下鉄の事故後の対応について、都としてどのように把握しているのか伺いたいと思います。
〇成戸東京都技監 営団では、事故直後に現地対策本部を設置して事故の対応に当たりますとともに、直ちに事故原因の調査を開始いたしました。また、警察は捜査本部を設置し、捜査を開始するとともに、運輸省におきましても事故調査検討会を設置し、事故原因の調査を進めております。事故の原因等につきましては、警察及び運輸省の事故調査検討会で調査中でございまして、現時点では判明しておりません。
 なお、営団では、再発防止に向けました緊急対策といたしまして、昨日、脱線防止ガードの設置基準を、現行の半径百四十メートル以下の曲線から百六十メートル以下の曲線に強化することといたしまして、営団全線の該当いたします四十三カ所すべてにつきまして、一カ月以内に設置することを決定いたしました。
〇大西委員 このたびの営団地下鉄のような事故が、いつ都営地下鉄で起こるとも限らないわけであります。今回の営団の事故を踏まえて、交通局は安全輸送についてどのような対応を行っているのか、また、今後どのように取り組んでいくのかについて伺いたいと思います。
〇横溝交通局長 交通局では、営団日比谷線の脱線事故の重大性にかんがみまして、事故当日の八日、直ちに都営地下鉄全路線の軌道及び全車両の緊急点検を指示し、実施した結果、異常はありませんでした。その後、運輸省の緊急点検の通達を受けまして、九日から十日にかけましてさらに綿密な点検を行い、全路線の軌道や車両に異常のないことを確認いたしました。
 また、今後の取り組みといたしましては、引き続き日常の点検強化を図るとともに、現在行われております運輸省鉄道事故調査検討会での調査状況を踏まえながら、安全の確保に万全を期してまいります。
〇大西委員 今、横溝交通局長おっしゃったように、都民の安全確保のために、今後とも全力でご努力をお願いいたしたいと思います。
 次に、臨海地域の物流機能の整備について伺います。
 東京臨海地域は、東京港、国際化が議論される羽田空港を擁するとともに、三環状道路のつながりや、千葉、神奈川とを結ぶ湾岸軸など、首都圏を視野に置いた広域ネットワークのかなめとなる地域であり、まさに陸海空の物流の要衝です。さらに、一大消費地東京にも最短距離にあるという立地優位性もあるわけです。平成十一年度の東京港の貿易総額は、三十二年間首位であった横浜港を抜いて日本一となりました。外貿コンテナ貨物取扱量も、平成十年から日本一となっています。これは、臨海地域の物流拠点としての立地優位性の証明であるとともに、この間の関係者の努力にも心から敬意を表したいと思います。
 一方、物流革新といわれる物流サービス機能の高度化、効率化の流れも急です。多様な機能を持つ物流センターが進出を始めているわけです。そこで、このような物流の動向も踏まえ、臨海地域の物流施設の整備充実をより一層推進することにより、東京、さらには首都圏の経済の力強い再生を実現していくべきと考えますが、知事の所見を伺いたいと思います。
〇石原知事 物流は、経済の発展と豊かな暮らしのためにも不可欠な社会的な方法、手段でございまして、特に海という、特に東京湾は一種の閉鎖水域ですから、波立つことのない、そういう水域を活用することで、物流というのは非常に促進されますし、既存の東京の施設も、横浜を上回るような非常に活況を呈しております。これを一層充実させるとともに、高度な情報、技術を活用した新しい物流産業の育成支援も視野に入れてーー東京は五十年後にも通用する一つの都市構造のビジョンをつくろうとしておりますけれども、それとのかかわりで、これから先、この臨海部分というものは非常に大きな機能を有するものと承知しております。
〇大西委員 次に、東京港の輸出入の不均衡と輸出振興策の充実について伺います。
 先ほど申し上げたとおり、国際的なメーンポートとして躍進著しい東京港でありますが、東京港の物流を輸出入の割合で見た場合、常に輸出は輸入の六割程度にとどまっており、大幅な輸入超過傾向にあります。こうした輸出入の著しいアンバランスは、片荷輸送を大量に発生させるとともに、空きコンテナの滞留で港湾区域の有効利用の妨げとなるなど、臨海地域の物流施設の効率的利用に多大な支障を来しています。
 そこで、輸出入のアンバランスを縮小し、東京港の経済的価値を最大限に発揮させるため、輸出貨物増加対策を、官民の垣根を超えて積極的に展開すべきと思いますが、所見を伺います。
〇浪越港湾局長 東京港は、巨大な消費地を抱えることなどから、大幅な輸入超過となってございます。これは貿易構造上の要因であり、やむを得ない面もありますが、輸出入のアンバランスを少しでも解消していくことは、効率的な港湾経営上大変重要なことであると認識しております。そこで今年度から、北関東など東京港背後圏へ、輸出動向調査や東京港利用促進PRを目的に職員の派遣を行うなど、各種施策を展開しているところでございます。
 今後、だれもが使いやすい港づくりを推進するとともに、輸出型メーカーに東京港の利用を働きかけるなど、東京港の利用拡大を目指したマーケティングの活動を一層強化してまいります。
〇大西委員 今、貨物及び航路の誘致について努力を続けていくというお話がありましたけれども、知事はこのたび、海外の事務所を閉鎖をいたしましたね。これは、こういう財政状況の中でやむを得ないかと思いますけれども、今日東京港がこのように取扱高が日本一になってきた、その裏には、ポートセールスというのが過去二十年間積極的に行われてきたと聞いているわけです。今本当に、釜山だとか高雄だとかアジア諸国の台頭が著しくて、国際競争、熾烈な競争にさらされているわけでございます。
 今後とも、厳しい国際競争に勝ち抜いてメーンポートの地位を確保して、東京や首都圏経済の活性化に貢献していくよう、これからも積極的、効果的なポートセールスを展開していくべきものと考えますが、所見を伺いたいと思います。
〇浪越港湾局長 ご指摘のように、東京港が悲願の貿易総額日本一の座を達成し得たのも、青海コンテナふ頭に世界有数の船会社の誘致に成功するなど、いわゆる官民一体で取り組んだ長年のポートセールスの積み重ねの結果であると考えております。しかし、東京港が、都民生活を守り、首都圏経済の発展を支えていくためには、近年の厳しい国際競争に打ち勝ち、メーンポートとしての役割を果たしていくことが必要であり、ポートセールスには、これまで以上の大きな成果が期待されております。
 今後、アジア地域の船会社、荷主に対する重点的なアプローチを行うほか、動きの激しい国際競争に対応できるよう、より戦略的、機動的、継続的なポートセールス活動を展開し、一層の東京港の振興に努めてまいります。
〇大西委員 ポートセールスに限らず、やっぱり東京の活力を高め、東京の将来のビジョンを構築する意味で参考になるのであれば、積極的に海外にも出ていくべきだと思うんですね。我々議会側も特に反省しなきゃいけないと思うんですね。財政危機だからといって、家に閉じこもってじっと考え込んだって、この財政危機を克服することができないわけでございますから、そういう点も、我々議会としてもこれから鋭意相談をしていかなければならないと思います。
 次には、公共事業における国費の拡充についてお伺いします。
 大都市への投資は、日本の経済全体に対する波及効果が極めて大きいにもかかわらず、依然として相対的に低い状態です。大都市の社会資本整備の充実のため、国は補助金を含め、より一層の重点的、集中的投資を行うべきです。これは折に触れていわれていることですけれども、年に一度しか使わない空港であるとか、あるいは亀井政調会長みずからがいっている、一日にクマかイノシシしか歩かないような道路のために過大な投資が行われている、こういうものをやっぱり改めていかなければならないと、私ども自民党の一員でも痛切に感じているわけです。
 都財政は、現在未曾有の危機を迎えていますが、こういった状況の中にあって、東京の経済を活性化し、安全で質の高い住民生活を実現するために、重要な社会資本の整備は着実に進めていく必要があります。そのためにも、悪名高き国庫補助制度も、現在制度としてあるんですから、積極的に活用して必要な財源を確保していくべきと考えますが、そこで何点か伺いたいと思います。
 まず、国庫補助の拡充について、国に対して、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、また、平成十二年度予算では、具体的にどのような成果が上がったのかをお示しいただきたいと思います。
〇木内財務局長 国庫補助の拡充につきましては、これまでも国要望など、あらゆる機会を通じて要望を行ってきたところでございます。十二年度の政府予算編成に係る要望におきましては、重点要望に位置づけ、取り組みを強化したところでございます。
 その結果、十二年度の国の予算におきまして、都営住宅のスーパーリフォーム事業について新たに国庫補助制度が創設されるとともに、新海面処分場の整備について補助対象事業の拡大と補助率の引き上げが行われたことなど、国庫補助金の拡充を図ることができました。
〇大西委員 具体的成果の一つとして、新海面処分場の補助率アップと補助対象枠の拡大がされたとのことですけれども、これによって今後どのくらい都の負担が軽減されるのか伺います。
〇浪越港湾局長 新海面処分場は七つのブロックに分けて整備をしているわけでございますが、今回整備対象になりましたGブロックの総事業費は、約五百八十億円と見込んでございます。このうち国庫補助金は、補助率が二一・五%から二六・五%に引き上げられましたことによりまして、約七十億円増加し、約百五十億円となりました。また、今後の残事業費の全体約三千百億円から試算いたしますと、国庫補助金は約四百八十億円から約八百三十億円になりまして、三百五十億円程度の増加が見込まれます。この分、都費が軽減されることになります。
〇大西委員 今後の新海面処分場にかかわる国庫補助金の増額見込み分が、約三百五十億円ということでございます。これにつきましても、我が自由民主党としても側面からお手伝いをさせていただいたわけでございますけれども、今後の都政にとって非常に貴重な額であり、その努力を大いに評価いたしたいと思います。こうした国費拡充の努力を、他の社会資本整備事業においてもっと積極的に行っていくべきであり、それは結果として、国のこれまでの姿勢の転換を求めていくことになると考えます。
 そこで、最後に知事に伺いますけれども、日本の経済再生のためにも、大都市東京の社会資本整備への重点投資を国に強く要望していくべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇石原知事 おっしゃるとおりだと思います。この首都東京への集中投資というのは、ほかの日本の部分への投資よりはるかに経済効率がいいわけでありまして、これは東京の活力だけでなしに、国力も刺激する大事な大事な投資になると思います。ただ、国会を動かしている議員さんたちが田舎の人が多くて、どうも彼らは東京というものを日本の中でとらえられない。金帰火来で、ばたばた行ったり来たりしているものですから、せいぜい永田町と霞が関と赤坂、六本木ぐらいしか知らないものですから、東京の日本的な機能というものの認識がほとんどないですね。
 さっき名前が挙がりました亀井君、私の近しい後輩ですから随分応援に行きましたが、広島、岡山などへ行きますと、中央自動車道路なんて夜中に車が通ってなくて、どこかのジャンクションでおりても、何か寂しくて明かりもよくついてないから、八つ墓村に来たんじゃないかと思うぐらい、そんな道路もーーあるにこしたことはないけど、相対的に東京近辺の社会資本の充実というのは、国家にとっても重要なことだと思います。これはもうこれから、こういう立場になりましたから口酸く申してまいりますし、先ほど非常にいいサジェスチョンでしたが、ガソリン税などは、やっぱり自動車問題、自動車のために道路をつくるんじゃなしに、その道路にかわるものをつくるというような意味合いで、私は主要なアクセスのために活用して使うべきものだと思います。これも必ず国に取り次いで、少し与党の連中とも諮って、動かしていきたいと思います。
〇大西委員 次に、有明北地区の埋立事業についてお伺いします。
 この事業は、働く人々の悲願である職住近接を実現し、今後の臨海地域の重要な発展のかぎを握る広域幹線道路や、「ゆりかもめ」の延伸を実現する、極めて意義の高い事業です。先日の我が会派の代表質問においても、こうした認識のもとに質問を行い、知事から着実に推進していくという力強い答弁をいただいたわけですが、去る七日に、この事業に反対する一部の人たちが海上デモを行いーーこれはこの中にも何人かいますねーーマスコミにもかなり取り上げられていました。この事業に反対する人たちは、有明北地区をハゼの最後の楽園だとして、埋め立てを行わないで、現在の直立護岸を親水性のあるものにして、道路を通すなら橋を渡せばいいと主張しています。
 そこで、都民の方々にこの事業を正確に理解していただくために、いま一度お伺いしますけれども、有明北地区は本当にハゼの最後の楽園といえるのでしょうか。私は葛西の漁業組合の顧問をやっているのですが、最近は、ハゼも釣れればオコゼも釣れて、アナゴも釣れて、それは東京湾そのものがきれいになってきたから、今、魚の楽園に生まれ変わりつつあるわけで、あそこだけに特定されたものではないと思うわけでございますけれども、仮に橋をかけるなんて、埋め立てをしないということだったら、現行方式と比べてどのような違いが出てくるのか、客観的な事実に基づく明快な答弁をお願いしたいと思います。
〇浪越港湾局長 初めに、有明北地区のハゼの最後の楽園といえるのかというご質問でございますが、マハゼは東京港のほぼ全域において生息する魚でございまして、また、有明北地区は他の地区に比べ、マハゼの巣穴の密度も少ない状況でございます。水質についても、夏場に海底付近で酸素が欠乏した状態となり、底質は夏冬を通じて富栄養な状況となっているなど、他の東京港の奥の部分と同様の傾向を示しております。
 有明北の水域は民有地に囲まれ、一般の都民が立ち入ることができず、ここ数年、限られた季節に船で釣りをされる方のみの釣り場として利用されております。ハゼにとっては、釣り上げられ、てんぷらにされ、食べられるのですから、釣り人にとっては楽園であっても、ハゼの最後の楽園といえるような場所ではなく、ましてハゼの唯一の生息地という実態にはございません。
 次に、埋め立てを行わず、親水公園や橋梁方式の道路をつくるとした場合の影響についてでございますが、埋立造成や道路整備、あるいは護岸整備に係る費用については、埋立地を処分した収入によって賄うこととしているために、埋め立てをしない場合は橋梁方式の道路の整備、あるいは親水公園や防潮護岸の整備、補償費や調査費などを都民の税金で負担せざるを得なくなります。これらの経費を試算いたしますと、橋梁二本の整備費は、単純な試算で二百億円以上、護岸整備に約二百五十億円、それに百億を超える補償、調査費など合計六百億円近くを税金で賄うことが必要になります。
 さらに、橋梁構造への変更に伴う工法や設計の見直し、都市計画手続や「ゆりかもめ」の認可手続のやり直しなどが必要になることから、平成十七年度に予定されております「ゆりかもめ」延伸や広域幹線道路延伸が大幅におくれることになります。「ゆりかもめ」や広域幹線道路の延伸は、有明北地区のまちづくり、臨海副都心の開発のみならず、東京全体の交通ネットワークの観点からも重要でございまして、その事業のおくれは多方面に大きな影響を及ぼすことになります。
 以上のことから、都民の皆さんにお約束いたしましたスケジュールどおりに埋め立てを実施していくことが、何としても必要であると考えております。
〇大西委員 それこそハゼの最後の楽園がハゼの最後の処刑場みたいな感じでお話がありましたけれども、そのとおりの部分もあるんじゃないかなと思いますね。有明北の埋め立てを行わないと、都民の税金を使うことになるわけですね。広域幹線道路や「ゆりかもめ」の延伸が立ち行かなくなるということは、臨海副都心の開発そのものが中止せざるを得ないような状況にも追い込まれる。
 この委員会の始まる前に、港湾局の開発部長が喜んで飛んできまして、何か今度臨海副都心に松下が進出すると、七十五億円の権利金があしたあたり入るんですよと、こういう報告があったわけでございますけれども、仮に臨海副都心開発そのものを中止するような事態が起こったら、都民にどんな影響が出てくるのか、これを率直にお答えいただきたいと思います。
〇浪越港湾局長 仮に開発を中止した場合の影響でございますが、まず、臨海副都心開発は、通常の公共事業と異なりまして、土地の運用収益によって整備費用を賄う、いわゆる開発利益の還元方式という独自の開発手法を採用しているため、事業収支に大きな悪影響がございます。
 つまり、広域交通基盤等の整備が行われないことで、新たに臨海副都心へ進出する事業者がなくなり、土地処分が進まないだけではなく、既に進出している事業者の中には撤退するものが出ることが考えられ、地代収入が入らなくなります。また、基盤整備を行うことによる地価の上昇を期待できないことから、予定した地代収入を確保できなくなります。したがいまして、開発利益の還元方式が破綻し、その結果、基盤整備に要した借入金の返済が困難となり、これを都民の税金で負担することとなります。さらに、これに加えまして、まちづくりへの影響といたしまして、広域交通基盤の整備が進まないことで、交通渋滞の解消がおくれ、東京の交通ネットワークの形成にも支障が出ます。これまで整備してきた道路などの都市基盤施設が十分に活用されなくなるおそれがございます。
 社会経済への影響といたしましては、東京活性化のリーディングエリアを担う臨海副都心のまちづくりが進まず、東京のみならず日本を再生する起爆剤の役割を果たせなくなります。また、経済波及効果の面では、生産誘発効果として十八兆円、雇用創出効果七十五万人が期待できたものが、中止により大幅に効果が減少します。さらに、事業者の進出による固定資産税、法人事業税などの税収増を期待できなくなるなど、多方面にわたりはかり知れない悪影響が予想されます。
 こうしたことから、臨海副都心開発は今後も着実に推進していくことが必要でございます。この事業は、東京の活力と創造力を生み出し、都民の豊かな生活を実現していく上に大いに貢献するものであると確信しております。
〇大西委員 後ほど共産党の委員から、臨海やめれば福祉の財源が出るじゃないかという、誇大妄想狂的な机上の空論が行われると思いますけれども、今の港湾局長のご答弁にあるように、我が東京の再生をかけた大事な大事な開発です。ぜひ今後とも勇気を持って頑張っていっていただきたいと思います。
 次に、東京の産業の再生についてお伺いしたいと思います。
 十年前を考えてみると、東京の将来像、二十一世紀像はバラ色でした。しかし、その後バブルの崩壊、経済の逼塞によって、東京の置かれている現状は大変厳しいものがあります。そして、東京の失われた十年といってもいいような現実があるわけでございます。こうした中で、東京の企業はさまざまな対応が迫られています。一つは、アジア諸国の追い上げであり、東南アジアの工業近代化の中で東京の企業はこれらの企業との激しい競争にさらされています。二つ目は、IT革命に代表される情報化の進展です。三番目は、高齢化の進展です。
 そこで知事、今、東京経済は大きな構造変化の中で、東京の企業が的確に対応していくために、企業も必死に生き残りをかけて頑張っているわけでございますけれども、都としてはどのような役割を今後果たそうとしているのか、基本的な考えをお伺いしたいと思います。
〇石原知事 東京にございますある種の中小企業が、アジア諸国を含めて周囲から追い上げられて、非常につらい立場にあるというのはよくわかります。
 ちょうど私が衆議院に出ましたときにも、品川、大田区というのは豆電球の名産地でありましたけれども、香港で安いものが出回って、あっという間につぶれました。ただ、やっぱりその時期は融資が比較的可能だったものですから、どんどん転業して違うものを同じ技術でつくるようになりました。ただ、今は融資の問題は非常にネックがございまして、だからこそ今度新しいCLOという方式の証券をつくりまして、それを売り出す新しい市場をつくりました。予想以上にたくさんの企業が申し込んできまして、それを精査して総額七百億ほどのーーこれは東京の予算に比べると小さなものかもしれませんが、しかし、中小企業の世界ということを対象にすればかなりの融資ができるようになったと思います。これが効果が上がって新しい技術が開発されてまた新しい製品が出回れば、企業にとってだけじゃなしに、東京にとっても格好なことでございますが、ご指摘のこういう構造変化に対応して、東京もできることはしなくちゃいけない。
 融資の問題だけではなしに、情報も少し精査してデータベースをつくりまして、それを組み合わせることで新しい商品も考えられるでしょうし、その他この他、何といっても物経済の肝要というのは技術と経営でありまして、それを側面から援助して、東京における優秀な技術を持った意欲のある企業というものを育て、かつ援助していきたいと思っております。
〇大西委員 今、知事からもご答弁があったように、こうした厳しい環境や新たな構造変化の中で見事に対応して大きな発展を遂げている幾つかの企業があると思います。都の方でも幾つかの実例を把握していると思いますけれども、そうした企業に共通に見られる点はどのようなことなのかお伺いいたします。
〇大関労働経済局長 今、不況の中におきましても大変構造変化に対応して業績を上げている企業はたくさんございます。その中で特徴的なところを三つほど紹介させていただきたいと思いますが、まず、情報関連の中では、これは港区のO社とさせていただきます、三十九人ほどの会社でございますけれども、ホームページの作成、あるいはソフト開発等で自社の技術力、ノウハウを高めて大変業績を上げております。それから製造業、これは大田区のK社とさせていただきますが、これも八十人ほどの会社でございます。精密の小型ねじをつくっておりまして、大手をしのぐ技術を持っております。それから、小売でございますけれども、これはわずか六人でございます。江戸川区のU社というところでございますが、これはファッション雑貨ですぐれた商品企画、開発力、これは大変すぐれておりまして、すごい利益を上げている会社でございます。こういうのが大きな特徴かと思います。
 これらの企業に共通した特徴でございますけれども、三つほど挙げられるかと思います。一つは、新製品の開発、人材育成、グローバル化対応などで、他社に例を見ない技術やノウハウを編み出しているというようなことが一点かと思います。それから第二には、IT化を積極的に取り入れて販売や情報収集に活用するなど、経営全般の革新につなげているということでございます。そして三番目に、何より困難やリスクに果敢に立ち向かい、企業を成長に導こうとする経営者の積極的な姿勢が認められるわけでございます。
〇大西委員 今のお話にあった企業に見られる共通点を他の多くの企業が積極的に参考にして、そして適応して、現在の構造変化に対応していくことが、東京の産業を活気づける道であると思います。
 ところで、昨年の七月に国は中小企業経営革新支援法を施行しました。この法律は、ご承知のように、個々の中小企業あるいはグループ、協同組合等が新商品の開発や生産等の経営革新計画をつくり、知事の承認を受けると、さまざまな支援措置が利用できる制度です。都においても昨年からこの計画の承認をしていますが、現時点での承認件数の数と内容をお聞かせいただきたいと思います。
〇大関労働経済局長 中小企業等の経営革新計画については、平成十二年一月末までに申請を受け付けた三百九件のうち、二百九十四件の申請を承認しておりまして、さらに今月も九十二件の申請につきまして審査を行うこととしております。
 この申請内容についてでございますけれども、開発した新技術の製品化、あるいは異業種分野への進出、あるいはネットワークを活用した販売促進などを内容とするものが多くて、これが全体の半数を占めてございます。傾向といたしましては、従来の仕事の注文を待っているという注文生産型のものから、自分でこういう仕事をやったらいかがかと、こういう積極的な提案をする提案型企業への経営戦略の転換を図るものが大変増加してきているということが見受けられます。
〇大西委員 こうした厳しい経済状況の中で必死に生き抜こうとしている中小企業の懸命な姿が見られるわけです。この法律に基づく支援として、計画に基づき事業を実施する中小企業に対する助成制度がありますが、その内容をお聞かせいただきたい。
 また、都は、平成十二年度にこの助成金を新たに予算化しましたが、具体的にどのように事業を進めていくのか伺いたいと思います。
〇大関労働経済局長 お尋ねの助成制度の内容につきましては、さきに述べた計画を承認した企業や企業グループが計画達成のために実施いたします新商品の市場動向調査、あるいは新商品、新技術の開発、あるいは見本市出展等の販路開拓、あるいは製造や販売にかかわる者の人材育成、こういったものなどの事業に対しまして支援を行っております。
 この審査に当たりましては、承認企業のうち、事業計画が他の企業のモデルケースとしてふさわしいものを助成対象といたしまして、その事業費の三分の二、二千万円を限度といたしまして助成しております。
 今後の進め方といたしましては、四月に説明会を開催いたしまして、五月に助成金の申請を受け付ける予定でございます。
〇大西委員 この制度は非常に有効なものであると思います。今後とも、この制度の趣旨が生かされるようぜひお願いいたしたいと思います。
 さて、一九八〇年代に日本の経済は絶頂期にあって、ジャパン・アズ・ナンバーワンなんていわれていましたけれども、その後、厳しい経済状況に今あえいでいるわけでございますけれども、アメリカが一九九〇年代の初頭から元気を取り戻してきた、その大きな要因の中には、規制緩和が進む、あるいは銀行等の破綻処理がスムーズに行われる、これはやっぱり政治の大きな決断と実行の力があったと思うんです。
 何と一九九〇年代アメリカの政権は、それこそレーガン、ブッシュ、クリントンですか、三人、日本は何と七人ですよね。覚え切れないくらいでございまして、ここにちょっとメモしてきましたけれども、海部、宮澤、細川、羽田、村山、橋本、小渕ーー小渕さんだってことしどうなるかわからない、こういうような状況で、そして政治がこういった厳しい経済状況に本当に真摯に対応できるような適宜適切な措置が講じられなかったということも大きな問題であったわけでございますけれども、そんな中でアメリカが今未曾有の景気を謳歌している要因の一つに、ベンチャー企業の果たしている役割というのが大変大きいわけでございます。
 ベンチャーを育てることによって雇用を確保していきますし、経済活動も活発になっていくわけでございますけれどもーー労働経済局長、時間が大分進んでいますので質問をはしょりますけれども、お許しをいただきたいと思いますが、簡単に能書きだけいいます。ーーベンチャー企業が、資金の問題、経営手法の問題、技術の問題、製品の市場開発の問題など直面する課題がたくさんある。これらについて、労働経済局を中心にして東京都もでき得る限りの対応をしてきたということについては高く評価をするわけでございますけれども、今後こうした施策というものは、多くの支援機関等の一体化による支援体制を確立していかなければならないと思うんですね。
 これは東京都だけでできるものではありません。国の機関や何か、あるいは区市町村の機関とも連携をして取り組んでいかなければならないと思いますけれども、ご所見を伺いたいと思います。
〇大関労働経済局長 ベンチャー企業の成長を支援していくためには、先ほどお話ししましたように、都の各種施策をより有機的に連携させまして、ベンチャー企業の成長段階に応じた総合的な支援策を講じていく必要がある、このように考えております。これを具体的に進めるために、東京都中小企業振興公社に推進協議会を設置いたしまして、産業技術研究所や商工指導所など都の支援機関あるいは都立大学、科学技術大学等、あるいは民間団体などを総合支援機構といたしましてネットワーク化して、多面的な支援体制を組んでいきたい、このように考えております。
〇大西委員 創業し、成長発展する際に資金調達というのは不可欠な問題ですけれども、ベンチャー企業への投資というのは日本は大変おくれているのではないかと思います。
 そんな中で、中小企業等投資事業有限責任組合、いわゆるベンチャーキャピタルファンドをこのたび設立をし、ベンチャー企業の支援をしていこう、こういう新しい試みを東京都はするわけでございますけれども、知事の所見を伺いたいと思います。
〇石原知事 時代の流れが非常に早くて、ベンチャービジネスというものがいろいろございまして、それがどれほど有望か有望じゃないかと見きわめることが非常に素人に難しい。だから投資家もたたらを踏むという節がよくございます。ですから、こういう責任組合をつくって、ある程度のヘッジをするということも一策だと思いますが、実は私は、こういう資金をたくさん用意することが必ずしも得策じゃない。
 つまり、これは最低限必要でしょうけれども、むしろアメリカがやっているみたいに、これと見込んだ会社の株をとにかく、ボンド・オプションというんですか、そこに投資する人が見返りにそこの株を持つような、投資家がその会社を本当に一種の運命共同体として踏み込むみたいな、そういう習慣を東京都が主導してこれから構築していくことで、いろんな形の支援を受けることで、有能な企業というのが育っていくんじゃないかと私は思っております。
 もちろんこれも一つの有効な手段だと思いますし、充実してまいりますけれども、プラスアルファがやっぱり必要だと思います。
〇大西委員 次に、商店街の振興について伺います。
 都内の商店街は、消費構造の変化や生活スタイルの変化、あるいは大型店だとかさまざまな課題の中で厳しい経営状況にあります。そうした中で都としてもさまざまな努力をしてきましたし、我が自民党が元気出せ商店街事業を提案して、これによって地域の商店街の活性化が図られてきているわけでございますけれども、来年度には、二十一世紀商店街振興プランの作成を計画しているということですが、これに大きな期待を寄せているわけでございますけれども、この作成の具体的な方法や作成の目的についてお聞かせいただきたいと思います。
〇大関労働経済局長 長引く消費の低迷や大型店の影響など、商店街を取り巻く厳しい経済状況に加えまして、今後、少子高齢化や情報革命の進展などの社会環境の大きな変化が予測されるわけでございます。このような状況のもとで、二十一世紀に向けた商店街の進むべき新たな道筋を示すことが、商店街振興を図る上で大変重要なことと考えております。
 お話のプラン策定に当たりましては、商店街の関係者のみならず、都市構造の専門家、あるいはまちづくりプランナー等をメンバーとする懇談会を設置いたしまして、より幅広い見地からさまざまなアイデアをいただきながら、総合的な商店街振興策を構築し、商店街の意欲的な取り組みを応援していきたい、このように考えております。
〇大西委員 商店街はコミュニティの核でもあるわけでございまして、今後とも、あらゆる角度から商店街の振興のためにご努力をいただきたいと思います。
 次に、福祉改革についてお伺いしていきたいと思います。
 けさ私も都庁に参りましたら、案の定、都民広場で住民の方々の集会が開かれていましたけれども、その中に共産党議員の姿もちらほら見えておられたわけでございます。
 せんだって、寒風吹きすさぶ中で多くの方々が都民広場で福祉見直し反対の集会を開いておりました。そのときにたまたま私の知人がおりまして、大西さん、まあ石原さんが血も涙もないから、私たちこの寒空で大変よと、こう話しておりましたので、私の福祉論をその方にもお話しました。
 ところで、何かあるんですね。中にはいわゆる出動費みたいのをもらってきている人もいるようですし、その方が率直にいったことは、大西さんね、こうやってどうせ我々来たって、議会は通っちゃうのよ。しかもね、「赤旗」購読料、月二千六百五十円よ。日曜版とりなさいといって六百五十円とられるのよ。そうしたら、なに、老人パスが年間千円なんだからね、共産党の方がひどいわよなんていって(笑声、拍手)そういう話も率直に聞かされたわけでございますけれども、今、福祉問題は、まさしく、ただ反対のための反対でできることではないと思うんです。
 かつて古典的なマルクス主義は、憎悪をあおることによって革命に結びつけようとした。それと同じように、こうした虚偽の憎悪をあおることによって、こうした新しい福祉の構築に対して反対をするというのは、私どもは到底理解できないところであります。
 福祉改革に臨む我が会派の基本的立場は、東京を、責任を持って、活力のある、しかも安心して暮らせる都市にしていくため、見直すべき点は見直し、発展させるものは思い切って充実させるという点にあります。そういう立場から、本会議の質疑で見直しに反対する政党の主張を聞いていて、率直にいって無責任な論議をしているという憤りを感じざるを得ないんですね。
 まず、福祉施策の見直しの論点として、第一に明らかにしなければならないことは、昭和四十年代に構築をされた現在の福祉施策というものは、時代の変遷の中で見直しをしなければならない時を迎えているということです。あの昭和四十年代の福祉を構築した美濃部都政の時代に、石油ショックによって財源の手当てがなくなって、あの共産党の皆さんですら、福祉の切り捨て反対とあのときはいっておられたのではないかと思います。そういう見通しを誤るようなことがあってはならないと思うわけでございます。
 そこで、今日、福祉の見直しがどのように必要な状況にあるのか、具体的かつ説得力ある形でまず説明をしていただきたいと思います。
〇神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 お答えします。
 今お話しのように、昭和四十年代に確立された福祉でございますが、社会経済状況のせいで大変大きく変わっております。そういう状況の中で、例えば高齢者であればーー大変な少子高齢社会の中で高齢者の方がふえております。したがいまして、そういう状況の中で現状のままの施策を続ければ、とてもやっていかれない、こういう状況になります。そういう中におきまして私どもは今回見直しをしたものでございますが、その範囲といたしましては、十分都民の方にご理解いただける内容ではないかというように考えております。
〇大西委員 第二に明らかにしなければならないのは、今回新しく設定した所得基準の水準の合理性です。
 これは、例えば重度心身障害者手当にとってみると、扶養三人家族で六百三十五万円以下の家庭には、引き続き支給するという内容です。この六百三十五万円という所得基準は、都民の三分の二ぐらいの人はこれ以下の収入だというレベルなんですね。三分の一以上しかいないというレベルなんです。しかも、国の所得基準は、実際に親に扶養されていれば、親の所得で支給の有無が判断されますけれども、東京都の場合は、単独で二十歳を過ぎていれば、本人所得で判断することになっているわけでございます。
 今回の新しい所得基準の考え方、その合理性をしっかりと説明する必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 新しい所得基準でございますが、負担の公平等の観点から、国において、税をもって支給している特別障害者手当に準じて定めております。その水準は、扶養家族のない方で年収四百九十二万円程度、扶養家族三人の方で年収六百三十五万円程度でございます。
 その新しい所得基準の合理性でございますが、平成八年度の社会福祉基礎調査で、都内の生計中心者の平均収入は、五百九十四万円でございます。六割を超える方が年収六百万円未満の方であることから、公平性の観点から、今回の所得基準は妥当と考えております。
 また、厚生省の所得再分配調査で、税などの負担と年金、医療などの受給との関係では、所得五百万円の層がいわゆる分岐点になっております。それ以上の世帯では、受給よりも負担の方が多い、こういう状況がございます。
 したがいまして、扶養三人の所得基準は、このラインを、今お話しのように、百万円余り上回っているわけでございます。
 また、準用することといたしました特別障害者手当の所得基準でございますが、国は、標準世帯をもとに設定したものと説明しておりまして、受給資格者本人が生活を維持できる水準と考えております。
 都の手当が受けられなくなりましても、一定の所得水準までは、国の手当や年金が受給できることになりますし、また、重度心身障害者手当につきましては、他県に類例のない制度でございます。
 これらのことから、総合的に判断しまして、新しい所得基準は、都民の理解を得られる妥当なものと考えております。
 また、今回の見直しにつきまして、二十歳以上、二十歳未満のお話が今ございましたが、この点につきましては、従来どおりで、同一の所得基準を適用しております。
 これは、ご指摘のように、国の支給制限要件と考え方が異なっているためで、妥当と考えております。
 以上でございます。
〇大西委員 第三に明確にしておく必要があるのは、我々の立場は、本当に配慮すべき人々に対しては、しっかりと適切な手だてを講じるべきであるということです。だからこそ、我が会派は、昨年十二月、知事に対して、低所得者については十分配慮をするようにとの緊急要望を行ったところであります。
 この要望を受けて、今回の見直し案がいかに低所得者に配慮したものになっているかを、具体的にお示しいただきたいと思います。
〇神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 心身障害者医療費助成におけます一部負担でお話しさせていただきますと、負担は、老人保健制度において高齢者が負担する水準と同じでございます。これは、一般の医療保険の約二割から三割に比べ、相当軽いものでございます。さらに、都議会各派の緊急要望も受けまして、低所得の方については、入院食事代など十分配慮をしたところでございます。
〇大西委員 最後になりますけれども、こうした福祉を取り巻く厳しい環境の中で、本当に必要な方々には手厚い福祉をしていく。そして、新たな環境に基づいた新たな施策も積極的にやっていく。そのためには、将来の経費の増加であるとか、当然新たな支出ともなりますし、財政的なしっかりとした見直しも必要になってくると思うわけでございまして、知事の福祉に対する決意のほどをお伺いして、福祉の問題を終わりたいと思います。
〇石原知事 私は、福祉は、つまるところ、心の問題だと思います。書いて字のごとく、まさしく福を施す。その福を施す手だては、お金もあるでしょう、その他この他いろいろあるでしょうが、いずれにしろ、決して弱者に対する配慮だけではなくて、環境問題あるいはそれに非常に影響のある都市の基盤整備の問題、あるいは治安、教育、そういったものを通じて、都民の皆さんが安心できる、満足できるという状況をつくっていくことが、私は行政の志すべき福祉だと思っております。
 もちろん、ハンディキャップを負った方々、弱者に対する配慮も必要でありましょうが、しかし、これは決して、これだけが福祉と論じられる問題ではない。福祉は、もっと多岐にわたる都民のニーズにいかにこたえるかの問題だと思っております。
〇大西委員 住宅問題、教育問題を残しておりますけれども、また後ほど我が同僚議員からご質問をさせていただきたいと思います。
 最後になりますけれども、知事が、「国家なる幻影」という本の中で、「ふり向いてくれ、愛しきものよ」と、こう最後の章を締めくくっていましたけれども、まさしく、そのいとしき者というのは、国家、国民であり、都民であると思います。共産党を初め反対をしている人たちもすべて含めて、振り向いてくれるような東京を築いていくために、我々も精いっぱいの努力を続けていきたいと思いますので、知事のご奮闘もあわせてご祈念を申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
〇清原委員長 大西英男理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十一分休憩